くっせつ‐こうがくしき〔‐クワウガクシキ〕【屈折光学式】
読み方:くっせつこうがくしき
屈折光学系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/27 01:47 UTC 版)
屈折率と分散が異なる硝材のレンズの組を使って色収差の影響を少なくできる。色消しと言う。基本的な手法として、クラウン系ガラスによる凸レンズに、分散が大きいフリント系ガラスによる凹レンズを組み合わせて色ズレをキャンセルする(正確には、定性的には通常は分散が大きいガラスは屈折率も大きく、この理論において定量的に重要なのはアッベ数である)。いわゆる「単玉」と呼ばれる写真レンズがこの2枚を貼合せたものであることが多いが、必ずしも貼合せなくともよい。原理的に、この凸凹1枚ずつの組合せでは、白色光に含まれる光のうち2ヶ所の波長で結像位置を一致させることができる。そのように2ヶ所で色収差が補正されたレンズを「アクロマート」と言う。 詳細は「アクロマート」を参照 エルンスト・アッベは、アクロマートをさらに進歩させ、3つの波長で色収差が補正され、2つの波長で球面収差・コマ収差が補正されている等の条件を満たすものを「アポクロマート」と命名した。現在では、アクロマートの2つの波長に対して、単に3つの波長で色収差が補正されていることを指してアポクロマートと言うことが多い。 詳細は「アポクロマート」を参照 分散の小さい素材を使うだけでは実用的なレンズはできない。たとえば蛍石レンズは分散が小さいが、それでもそれだけの単レンズでは写真レンズで許容できる色収差より1桁大きい。 また前述のようにアクロマートは比較的単純に可能だが、アポクロマートを実現するためにはより面倒な手法が必要になる。ここで「部分分散比」という考え方を導入する。部分分散比とは、2つの異なる波長範囲における光学材料の屈折率差の比である。部分分散比とアッベ数を縦軸と横軸にとり、チャートにプロットすると、通常の光学ガラスはほぼ1本の直線上に乗る。すなわち、ほぼ比例の関係にある。それに対し、蛍石レンズや異常分散レンズといった異常部分分散性の低分散の材料は、分散が小さいだけではなく、この直線から外れている、という性質がある(分散 (光学)#光学ガラスも参照)。 薄レンズ近似のもとで3つの波長で色収差を補正する手法として、分散が異なるが部分分散比が等しい2つの素材を組み合わせるという手法がある。しかし通常の光学ガラスでは前述のようにほぼ直線関係があるため、この手法を実現するためには異常部分分散性の材料が必要になる。
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