屈折性の減少
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/31 14:49 UTC 版)
多くの屈折語では時代が下るとともに屈折的特徴が失われる。屈折の消失が進んでいる例として現代英語が挙げられる。英語ではインド・ヨーロッパ語族の特徴である動詞の屈折語尾はほとんど失われ、直説法能動態現在単数三人称に‐sがつくのみ、名詞では格の区別が語の上から失われ、所有を表す 's を伴う形の二つに収斂している。このような語形変化の消失には大きく二つの原因が挙げられる。 ひとつは他言語との接触による簡略化である。他言語話者との接触が進み、他言語話者が多くその言語を使うようになると、一般に複雑な変化が失われる傾向にある。英語の場合はヴァイキングの侵略による北欧語との接触とノルマン・コンクエストによるノルマン・フランス語との接触が消失を促進したといえる。別の原因は音韻の変化による語形の消失である。母音の融合や子音の脱落などにより、もとあった差異が失われ語形が減少する。 このような屈折性の減少を補うため、多くの言語では、接置詞等により格を表現したり、語順を固定したり、補助動詞を使うことにより文法的機能を表す分析的要素が持ち込まれている。
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