パリ・コレクションとは? わかりやすく解説

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パリ・コレクション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/11 16:45 UTC 版)

エリー・サーブ2011年秋冬オートクチュールコレクションのファッションショーより。モデル: マグダレナ・フロンツコヴィアク英語版

パリ・コレクション: semaine de la mode à Paris)は、年2回、フランスパリで開かれるファッションブランドの新作発表会(ファッション・ウィーク)である。

概要

「パリ・プレタポルテ・コレクション」は3月に秋冬コレクション、10月に春夏コレクションが2週間前後の日程で開催発表される。また「パリ・オートクチュール・コレクション」は1月に春夏コレクション、7月に秋冬コレクション、メンズコレクションも同じく2月と7月に開催される。これらを総称して「パリコレ」という。パリ・コレクションは欧米では通じない日本だけの言葉[1]

数多くのファッションデザイナーがクリエイションを重視した新しい作品を発表し、世界各国のジャーナリスト、ライター、フォトグラファーなどのメディア関係者や、バイヤー、スタイリストなどのアパレル業界関係者、その他芸能人、時に政治家などが開催時に招待客として前列に並ぶ。その他、特に有名デザイナーのメゾンにおいては、世界的な著名人やVIP顧客などが招待される為に、実際には一般の人々が直接会場で見ることがとても難しい状況である。

世界の有名なプレタポルテのコレクションは、歴史的にも主にニューヨークロンドンミラノパリの順番で4都市で開催される。多い時には各国から参加するデザイナーを合わせて総勢200近いメゾンが参加する。なかでもパリ・コレクションは世界的にも一番規模が大きく、高級ブランドが新作を発表し、その年のファッションの流行が左右されるため注目度は非常に高い[2][3]。当Wikipediaパリ・コレクションのフランス語版記事では、英米アングロサクソンのメディアは、NY、ロンドン、ミラノ、パリを"ビッグ4"と称していると(多少の皮肉を込めて)引用している[4][5]

パリ・コレクションは1984年、ルーヴル美術館中庭に特設テントを設営しそこをメイン会場とした。そこで、一定期間にまとまった形でファッションショーが開催されていたが、1998年頃からはブランドごとにルーヴル美術館内の地下ホールや独自に会場を設けるメゾンも多くなった。

歴史

オートクチュール・コレクションの歴史はベルエポックと呼ばれた文化的爛熟期の20世紀初頭にさかのぼる。

オート(haute)クチュール(couture)を作り出し、高級衣装店協会を設立したシャルル=フレデリック・ウォルトが先頭に立ち、最高の素材と技術、芸術的センスで仕立てられる最高権威のコレクション「パリ・オートクチュール・コレクション」として1910年頃から開催されるようになった。それゆえに「パリ・コレクション」とは、もともとはこのオートクチュール(最高級仕立て服)・コレクションを意味する言葉であった。

1970年、当時のプレタポルテデザイナーは自社ショールームで服を見せていた時代に、パリでブランドを立ち上げた高田賢三は、会場を借りてショーを開催。賢三の集客力に目をつけた「サンディカ(組合)」が合同でコレクションの開催を持ちかけ、1971年10月に賢三とドロテビス、シャンタル・トーマスが、同じ場所で’72春夏コレクションを合同発表した。この初の試みが、現代のパリコレ・プレタポルテの原型となった[6]。こうして1970年代から「パリ・コレクション」がプレタポルテ(高級既製服)・コレクションを指すようになった。

1950年頃まではオートクチュールが世界のファッションをリードする存在であったが、1950年代、プレタポルテがファッションの奔流として台頭し、1960年代のプレタポルテ・コレクション開始が主導権の移り変わりを決定的なものにした。1968年の五月革命を期に、社会構造が真の意味での現代へと突入したフランスに大量消費時代が到来したこともこれを後押しした。第二次世界大戦の終戦直前には106あったフランスのオートクチュールメゾンも、1980年代から1990年代にかけての世代交代期には20あまりにまでに激減した。

「パリ・コレクション」は現在、厳密な意味において(定義を満たし、活動の力点をオートクチュールに置く)オートクチュールの技術と資本を備えているメゾンは10前後とも言われている。最高級注文服をオーダーする顧客は年々下降の一途であり、世界中の顧客数が2000人に満たないのではないかという説もある。フランスが誇る一文化としてオートクチュールに鑑みると、享受層が極端に限定される文化の衰退は、もはや時代の移り変わりの象徴と言えるかも知れない。

パリで開催される、オートクチュール、プレタポルテ、通常どれも日本では「パリ・コレクション」と言うが、しかし、現在において「パリ・コレクション」というとまず先に、プレタポルテのコレクションを指して意味するようにもなっている。それらを区別する為にオートクチュールは「パリ・オートクチュール・コレクション」と呼ばれている。

主な参加ブランド

プレタポルテ・ウィメンズ

脚注

  1. ^ オートクチュール (映画)プログラム7ページ
  2. ^ "La semaine parisienne est la plus ancienne et la plus internationale.…"
    M: “Didier Grumbach : "Paris est clairement la capitale de la création"” (フランス語). lemonde.fr (2012年9月26日). 2021年4月16日閲覧。
  3. ^ Delphine Desneiges. Cosmopolitan: “La Fashion Week pour les nuls” (フランス語). cosmopolitan.fr. 2021年4月16日閲覧。
  4. ^ "« Big Four » (en français : « les quatre grands ») par les médias anglo-saxons"
    Charlet Duboc (2012年9月19日). The Guardian: “Beyond London, fashion weeks fabulously cut from a different cloth” (英語). theguardian.com. 2021年4月16日閲覧。
  5. ^ "…is one of the fashion world's "big four" events, along with the New York, Milan and Paris fashion weeks."
    Latest highlights from London Fashion Week” (英語). cnbc.com. 2021年4月16日閲覧。
  6. ^ 高田 賢三 Vol.4 SOW TOKYO

参考文献

  • 『パリ・モードの200年~18世紀後半から第二次大戦まで~』南静(みなみ しずか)著(1975年5月20日、文化出版局ISBN 978-4-579-30003-7
  • 『パリ・モードの200年②~第二次大戦後から現代まで~』南静著(1990年11月5日、文化出版局) ISBN 978-4-579-30321-2

パリ・コレクション出演モデル

関連項目

外部リンク


パリコレクション

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川久保玲」の記事における「パリコレクション」の解説

川久保玲コム デ ギャルソンのパリ・コレクションでのコレクション発表履歴タイトル)は以下のとおり。 1981-82AW Pirates 1982SS Indigo Dye and Twist 1982-83AW Holes 1983SS Patchworks and X 1983-84AW Gloves,Skirts,Quilted Big Coats 1984SS Round Rubber 1984-85AW Twist,Silk+Jersey,Knits(Patchworks) 1985SS Mud-Dyed 1985-86AW Dots,Polyester Pleats 1986SS Bias Cutting 1986-87AW Bonding 1987SS Young Chic,No Shoulder 1987-88AW White Shirt+Pants,Khaki,Lili Marleen 1988SS Frontless,Lame Sequins 1988-89AW Red is Black 1989SS Movement 1989-90AW Liberation from Tailonng(Next New One) 1990SS Refresh the Spirits 1990-91AW Modern Sweetness 1991SS Ink Dye,Stained Glass 1991-92AW Chic Punk 1992SS Unfinished 1992-93AW Lilith 1993SS Ultrasimple 1993-94AW Synergy 1994SS Eccentric 1994-95AW Metamorphosis 1995SS Transcending Gender 1995-96AW Sweeter Than Sweet 1996SS Kaleidoscope 1996-97AW Flowering Clothes 1997SS Body Meets DressDress Meets Body 1997-98AW Adult Punk 1998SS Clustering Beauty 1998-99AW Fusion 1999SS New Essencial 1999-00AW Transformed Glamour 2000SS Coercion 2000-01AW Hard and Forceful(Energy) 2001SS Optical Shock(Volume) 2001-02AW Beyond Taboo 2002SS Ethnic Couture(White) 2002-03AW Free Kniting(Freedom of Knits) 2003SS Extreme Embellishment(Adornment) 2003-04AW Square 2004SS Abstract Excellence 2004-05AW Dark Romance,Which 2005SS Ballerina Motorbike 2005-06AW Broken Bride 2006SS Lost Empire 2006-07AW Persona 2007SS Cubisme 2007-08AW Curiosity 2008SS Cacophony 2008-09AW Bad Taste 2009SS Tomorrow's Black 2009-10AW Wonderland 2010SS Adult Delinquent 2010-11AW Inside Decoration 2011SS No Theme(Multiple Personalities,Psychological Fear) 2011-12AW Hybrid Fashion 2012SS White Drama 2012-13AW 2 Dimensions 2013SS Crush 2013-14AW The Infinity of Tailoring 2014SS Not Making Clothing 2014-15AW MONSTER 2015SS Blood and Roses 2015-16AW Ceremony of Separation 2016SS Blue Witch 2016-17AW 18th-Century Punk 2017SS Invisible Clothes 2017-18AW The Future of Silhouette

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「パリコレクション」を含む「川久保玲」の記事については、「川久保玲」の概要を参照ください。

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