モジュラー群
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数学においてモジュラー群(modular group)とは、数論、幾何学、代数学や他の現代の数学の分野における基礎研究対象であり、幾何学的変換群や行列群により表されるものである。
定義
モジュラー群
モジュラー群 Γ は H 上に PSL(2, R) の離散部分群(discrete subgroup)として作用する、つまり、H の各々の 元 z に対して、z の近傍をとり、z の軌道の他の元を含まないようにすることができる。このことはまた、基本領域を構成することができることを意味する。(大まかには、)基本領域は H の中のすべての z の軌道からちょうど一つずつの代表元を選ぶことで構成することができる。(領域の境界に注意が必要である。)
基本領域を構成する方法は多数あるが、すべてに共通なことは、領域
-
付帯するタイリンクを写像することにより、写像 (2, 3, ∞) → (2, 3, 7) を可視化[6] (モジュラー群から三角形群への)写像 (2, 3, ∞) → (2, 3, n) の群は、このタイリングのことばで(モジュラー曲線のタイリングである)右図のように可視化することができる。
合同部分群
→詳細は「合同部分群」を参照モジュラー群 Γ の重要な部分群には、合同部分群(congruence subgroup)と呼ばれる群があり、付帯する行列の上に合同関係式を導入することにより与えられる。
自然な準同型 SL(2, Z) → SL(2, Z/NZ) が各要素に対して modulo N をとることにより得られる。このことはモジュラー群の準同型 PSL(2, Z) → PSL(2, Z/NZ) を導く。この準同型の核は、レベル N の主合同部分群(principal congruence subgroup)と呼ばれ、Γ(N) と書く。次の短完全系列を得る。
- .
準同型の核 Γ(N) はモジュラー群 Γ の正規部分群である。群 Γ(N) は、a ≡ d ≡ ±1 (mod N) であり b ≡ c ≡ 0 (mod N) であるすべてのモジュラー変換
の集合である。
レベル 2 の主合同部分群 Γ(2) はモジュラー群 Λと呼ばれる。PSL(2, Z/2Z) は対称群 S3 と同型であるので、Λ は指数 6 の部分群である。群 Λ は、a と d が奇数で、b と d が偶数であるすべてのモジュラー変換からなる。
他の重要な合同部分群の族に、モジュラー群ガンマ0(modular group Γ0(N))が c ≡ 0 (mod N)、同じことであるが、N を modulo として上三角変換のすべてのモジュラー変換の集合として定義される。Γ(N) は Γ0(N) の部分群である。これらの群に付帯するモジュラー曲線は、モンストラス・ムーンシャインの一側面でもある。ある素数 p に対し、正規化されたモジュラー曲線の種数が 0 であることと、p がモンスター群の位数を割ることとは同値である。同じことであるが、p が超特異素数(supersingular prime)とは同値である。
写像トーラス
群 GL(2, Z) は、標準格子 Z2 を保存する線形写像であり、SL(2, Z) はこの格子の向きを保存する写像である。これらは、(SL 写像は向きを保存する)トーラスの半同相(self-homeomorphism)となり、実際、トーラスの(拡張された)写像類群(mapping class group)に同型な写像は、トーラスのすべての半同相写像は、この形の写像と等方的(isotopic)となる。GL(2, Z) の元としての代数的性質はトーラスの誘導写像の力学と対応する。
ヘッケ群
モジュラー群は、エーリッヒ・ヘッケの名前をとったヘッケ群へ一般することができ、次のように定義することができる[7]
ヘッケ群 Hq は離散群で、 とすると、
により生成される。
モジュラー群 Γ は H3 に同型であり、性質や応用を共有する。たとえば、巡回群の自由積(free product)である
や、より一般的には、三角形群(triangle group) (2, q, ∞) に対応する
を持っている。Z[λ] の主イデアルに付帯する主合同部分群の考え方も存在する。小さな値の q に対し、
である。
歴史
モジュラー群とその部分群は、最初に、詳細にリヒャルト・デーデキント (Richard Dedekind) とフェリックス・クライン (Felix Klein) により、1870年代に彼らのエルランゲン・プログラムの一部として研究された。しかし、密接に関連する楕円曲線は、1785年にジョゼフ=ルイ・ラグランジュ(Joseph Louis Lagrange)により研究され、さらに楕円函数に関する結果は、カール・グスタフ・ヤコブ・ヤコビ(Carl Gustav Jakob Jacobi)とニールス・アーベル(Niels Henrik Abel)により1827年に出版された。
脚注
- ^ Alperin, Roger C. (April 1993). “PSL2(Z) = Z2 * Z3”. Amer. Math. Monthly 100: 385–386.
- ^ 三角形群(triangle group)は、三角形の辺を線対称の中心線とした鏡映の列により幾何学的に実現できる群である。三角形群は通常のユークリッドの三角形、球面上の三角形、双曲三角形である。各々の三角形はユークリッド平面、球面上の、双曲平面上の合同三角形やメビウスの三角形と呼ばれる作用の基本領域のタイリングによる対称群である。
- ^ http://www.mathematica-journal.com/issue/v9i3/contents/ModularGroup/ModularGroup.pdf
- ^ a b le Bruyn, Lieven (22 April 2008), Dedekind or Klein ?
- ^ Stillwell, John (January 2001). “Modular Miracles”. The American Mathematical Monthly 108 (1): 70–76. ISSN 0002-9890. JSTOR 2695682.
- ^ Platonic tilings of Riemann surfaces: The Modular Group, Gerard Westendorp
- ^ Combinatorial group theory, discrete groups, and number theory, by Gerhard Rosenberger, Benjamin Fine, Anthony M. Gaglione, Dennis Spellman p. 65
関連項目
- メビウス変換
- フックス群(Fuchsian group)
- ビアンキ群
- クライン群(Kleinian group)
- 双曲タイリング(Hyperbolic tiling)
- モジュラー函数
- J-不変量
- モジュラー形式
- モジュラー曲線
- 古典的モジュラー曲線(classical modular curve)
- ポアンカレの上半平面モデル
- ミンコフスキーの疑問符関数(Minkowski question-mark function)
- 写像類群(Mapping class group)
参考文献
- Tom M. Apostol, Modular Functions and Dirichlet Series in Number Theory, Second Edition (1990), Springer, New York ISBN 0-387-97127-0 See chapter 2.
- Klein, Felix (1878/79), “Über die Transformation der elliptischen Funktionen und die Auflösung der Gleichungen fünften Grades (On the transformation of elliptic functions and ...)”, Math. Annalen 14: 13–75 (in Oeuvres, Tome 3)
- Dedekind, Richard (September 1877), “Schreiben an Herrn Borchard uber die Theorie der elliptische Modulfunktionen”, Crelle's Journal 83: 265–292.
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