ブバスティスとは? わかりやすく解説

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ブバスティス

(bubastis から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/27 01:53 UTC 版)

ブバスティスギリシア語: Βούβαστις Boubastis[1] または、Βούβαστος Boubastos[2]; コプト語ボハイラ方言: Ⲡⲟⲩⲃⲁⲥϯ Poubasti)は、アラビア語テル=バスタ、またはエジプト語ペル=バストとしても知られ、古代エジプトの都市の一つである。ブバスティスはしばしば聖書ピ・ベセトヘブライ語 פי־בסתPY-BSTエゼキエル書30章17節[3])に同定される。その属するノモスの首都であり、下エジプトデルタ地域のナイル川沿いに位置し、ネコ型の女神バステト崇拝の中心地で、それ故に、ネコのミイラのエジプトにおける主要な保管所であった。


  1. ^ ヘロドトス歴史』第2巻59節・137節。
  2. ^ ストラボン地理誌』第17巻1章、ディオドロス歴史叢書英語版』第16巻51節、プリニウス博物誌』第5巻9章、プトレマイオス地理学』第4巻5章52節。
  3. ^ エゼキエル書』30章17節:“.בחורי און ופי־בסת, בחרב יפלו; והןה, בשבי תלכןה‎” 「オンとピ・ベセトの若者たちは剣に倒れ、彼女らは囚われの身へと赴くであろう」。“הןה‎”「彼女ら」が若者たちを指すことはあり得ないので、これらの都市を指すはずである。ヘブライ語で「都市」を意味する語は、一般に女性名詞(עיר, קריה‎)である。〔補足:新共同訳聖書では「オンとピ・ベセトの若者たちは剣(つるぎ)に倒れ、他の人々は捕囚として連れ去られる。」(※斜体と下線による強調は引用者によるもの)となっており、このヘブライ語の三人称複数女性形代名詞הןה‎”をそれらの都市の住民たちを指すものと解釈している。これに対して岩波書店旧約聖書翻訳委員会訳では「オンとピ・ベセトの若者たちは剣に斃(たお)れ、女たちは連行されて行くであろう。」(※斜体と下線による強調は引用者によるもの)としており、都市住民のうち、男子が殺されて女子が捕囚となる、と解釈している(脚注には「原文『彼女たち』」とある)〕
  4. ^ Bakr, Mohamed I.; Brandl, Helmut (2010). “Bubastis and the Temple of Bastet”. In Bakr, M.I.; Brandl, H.; Kalloniatis, F. (英語). Egyptian Antiquities from Kufur Nigm and Bubastis. Vol. 1. カイロベルリン: M.i.N. Museums in the Nile Delta” [M.i.N. ナイル・デルタにおける博物館] (英語). project-min.de. フンボルト大学ベルリン考古学研究所エジプト学および北東アフリカ考古学. 2015年1月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年1月8日閲覧。. pp. 27-36. ISBN 978-3-00-033509-9 
  5. ^ 「○○の家」とは古代オリエントで幅広く用いられていた慣用表現で、○○が人名であれば国家や王朝(通常は開祖の王の名前が○○となる)を意味し、神名であれば神殿を意味する。
  6. ^ イメティ=ケンティ(Imety-Khenty)とも転写される。ノモス (エジプト)#ノモスの一覧参照。
  7. ^ ヘロドトスは『歴史』において、エジプトには“カラシリエス”(Καλασίριες Calasiries)と“ヘルモテュビエス”(Ἑρμοτύβιες Hermotybies)という軍人カーストが存在し、それぞれ決められた州(ノモス)の出身者から成っていたと記している。ブバスティスはテーベやタニス等と共に、カラシリエスの出身州であると記されている。カラシリエスおよびヘルモテュビエスの語義については明らかでない。(ヘロドトス『歴史』第2巻164 - 166節)。
  8. ^ 年代記英語版
  9. ^ ヘロドトス『歴史』第2巻158節
  10. ^ 〔補足:「教会編年誌」の原文は ecclesiastical annals
  11. ^  Smith, William, ed. (1854–1857). "Bubastis". Dictionary of Greek and Roman Geography. London: John Murray. 2012年1月28日閲覧 (ヘロドトス『歴史』第2巻137-138節)。
  12. ^ 〔補足:「公衆市場」の原文は public market だが、松平千秋訳『ヘロドトス 歴史』〈岩波文庫〉によればアゴラのこと〕
  13. ^ 大英博物館収集品
  14. ^ 女神バストは、バステトBastet)とも呼ばれ〔エジプト語表記“Bȝśt.t”の“-t.t”の表記は、本来、女性形語尾-t”を強調したもので、末尾の“.t”は実際には発音されていなかった可能性がある〕、もしくは(都市にちなんで)ギリシア語でブバスティスとも呼ばれる。
  15. ^ Evans, Elaine A.. “Cat Mummies” [猫のミイラたち] (英語). マクラング自然史文化博物館. マクラング自然史文化博物館英語版. 2018年4月8日閲覧。
  16. ^ Scott, Nora E. (1958). “The Cat of Bastet” (英語) (PDF). メトロポリタン美術館紀要 (ニューヨーク: メトロポリタン美術館) (SUMMER): 1-8. https://www.metmuseum.org/pubs/bulletins/1/pdf/3258805.pdf.bannered.pdf 2018年4月8日閲覧。. 
  17. ^  Smith, William, ed. (1854–1857). "Bubastis". Dictionary of Greek and Roman Geography. London: John Murray. 2012年1月28日閲覧 (ヘロドトス『歴史』第2巻60節)。
  18. ^ Gams, Pius Bonifacius (1931) (ラテン語). Series episcoporum Ecclesiae Catholicae. ライプツィヒ: Hiersemann K. W.. p. 461. http://www.wbc.poznan.pl/dlibra/doccontent?id=65154&dirids=1 2014年8月20日閲覧。 
  19. ^ Le Quien, Michel (1740). “IV. ECCLESIA BUBASTI (coll. 559-562)” (ラテン語). Oriens christianus in quatuor Patriarchatus digestus. Tomus Secundus (II). パリ: Typographia Regia. pp. 80-81. https://books.google.co.jp/books?hl=ja&id=mwJhAAAAcAAJ&q=BUBASTI#v=snippet&q=BUBASTI&f=false 2014年8月20日閲覧。 
  20. ^ Worp, Klaas A. (1994). “A Checklist of Bishops in Byzantine Egypt (A.D. 325 - c. 750)” (英語) (PDF). Zeitschrift für Papyrologie und Epigraphik (ライデンボン: ライデン大学/Dr. Rudolf Habelt有限会社) (100): 283-318. https://openaccess.leidenuniv.nl/bitstream/handle/1887/8214/5_039_223.pdf?sequence=1 2014年8月20日閲覧。. 
  21. ^ テル=バスタ・プロジェクト(エジプト調査学会(EES)/ゲッティンゲン大学考古最高評議会) - エジプト調査学会(EES)


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