音波
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/16 09:03 UTC 版)
音波(おんぱ、英: acoustic wave)とは、狭義には弾性波のうち空気中を伝播する人間や動物の可聴周波数の疎密波をさす。広義では、気体、液体、固体を問わず、弾性体を伝播するあらゆる弾性波の総称をさす。狭義の音波をヒトなどの生物が聴覚器官によって捉えると音として認識する。
人間の可聴周波数より高い周波数の弾性波を超音波、低い周波数の弾性波を超低周波音と呼ぶ。
本項では主に物理学的な側面を説明する。
概念・用語
- 媒質
- 音波は、真空中では伝播せず、必ず気体・液体・固体のいずれかの媒質を介する必要がある。
- 音場
- 音波が伝播している場を音場(おんば、英: sound field[1])という[2]。音場の記述には通常、音圧と粒子速度(媒質粒子が振動する速度)が選択される。
- 自由音場(じゆうおんば、英: free sound field[3])は、ある点から発生した音が全方向に均質に、また反射することなく伝わる空間のことをいい、JISでは「等方性かつ均質の媒質中で境界の影響を無視できる音場」と定義される[4]。無響室は自由音場の条件が実現するよう壁、天井、床の全方位の面が音を吸収する材料で覆われた室である[5][6]。
- 拡散音場(かくさんおんば、英: diffuse sound field[7])は、すべての点において音響エネルギー密度が等しく、かつあらゆる方向から等確率で音響エネルギーが伝搬する仮想的な音場である[8][9]。すなわち拡散音場では、すべての点において実効音圧の大きさが等しく、また音響インテンシティの時間平均は0となる。残響室は、拡散音場の条件を近似的に実現するために、全方位の面を反射性に仕上げた室である[10][11]。
- 波動方程式
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音波の挙動は波動方程式で表される。この支配方程式は通常、音圧p を変数として表される[12][13]。
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音波は物理現象であると同時に、生物の行動を媒介するもの・人間が産業的に価値を見出すものでもある。
以下は音波の利用例である:
脚注
- ^ “IEC 60050 - International Electrotechnical Vocabulary - Details for IEV number 801-23-27: "sound field"”. electropedia.org. 2024年12月28日閲覧。
- ^ 吉川茂; 藤田肇『基礎音響学』講談社サイエンティフィク、2002年、81頁。ISBN 4-06-153972-8。
- ^ “IEC 60050 - International Electrotechnical Vocabulary - Details for IEV number 801-23-28: "free sound field"”. electropedia.org. 2024年12月28日閲覧。
- ^ 等方性,かつ,均質の媒質中で境界の影響を無視できる音場(JIS Z 8106:2000, 自由音場)
- ^ 『新版 音響用語辞典』 (2003), p. 162, 「自由音場」.
- ^ 境界に入射したすべての音が吸収されることによって,内部で自由音場の条件が成り立つ室。(JIS Z 8106:2000, 無響室)
- ^ “IEC 60050 - International Electrotechnical Vocabulary - Details for IEV number 801-23-31: "diffuse sound field"”. electropedia.org. 2024年12月28日閲覧。
- ^ 『新版 音響用語辞典』 (2003), p. 90, 「拡散音場」.
- ^ ある区域内で音響エネルギー密度の統計分布が一様で、かつ、その区域内のどの点においても音響エネルギーの伝搬方向がすべての方向に対して等確率である音場。(JIS Z 8106:2000, 拡散音場)
- ^ 『新版 音響用語辞典』 (2003), p. 145, 「残響室」.
- ^ できるだけ拡散性が高い音場を実現するために特に設計された長い残響時間をもつ室。(JIS Z 8106:2000, 残響室)
- ^ 吉川茂; 藤田肇『基礎音響学』講談社サイエンティフィク、2002年、152頁。 ISBN 4-06-153972-8。
- ^ 大野進一; 山崎徹『機械音響工学』森北出版、2010年、6頁。 ISBN 978-4-627-66751-8。
- ^ Rossing (2007), p. 27
- ^ 『基礎音響学』 (2019), p. 62.
- ^ a b c Rossing (2007), p. 47
- ^ a b c d Rossing (2007), p. 48
- ^ a b c Rossing (2007), p. 65
- ^ a b c Rossing (2007), p. 66
- ^ a b 『基礎音響学』 (2019), p. 48.
- ^ a b "音が空気などの媒質を伝搬し ... 音は空気中を「疎密波」として伝わります。" (荒井 2025)
- ^ a b "音は、空気の振動による疎密波で縦波である。" (KI 2009, p. 1)
- ^ "媒質中の粒子が動く方向と波の伝わる方向が一致する場合、縦波 ... 音波は縦波として空気中を伝搬します。" (荒井 2025)
- ^ "音による空気の振動は、大気圧を中心に圧力変化を起こします。この微小な圧力変動分を音圧と呼びます。" (KI 2009, p. 3)
参考文献
- Thomas D. Rossing, ed (2007). Springer Handbook of Acoustics. Springer. doi:10.1007/978-0-387-30425-0. ISBN 978-0-387-30446-5
- 安藤彰男; 鈴木陽一; 古川茂人『基礎音響学』コロナ社〈日本音響学会編 音響学講座 1〉、2019年。 ISBN 978-4-339-01361-0。
- 日本音響学会 編『新版 音響用語辞典』コロナ社、2003年。 ISBN 4-339-00755-2。
- 日本産業規格『JIS Z 8106:2000(音響用語)』 。
- 荒井, 隆行. “音の伝搬(Propagation of Sound)”. 音響音声学デモンストレーション. 上智大学. 2025年2月18日閲覧。
- KI (2009-05-28). “音の測定の基礎 – 第2回「音の『波』としての性質」”. ONO SOKKI -- info channel (92): 1-4 .
関連項目
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「Acoustic wave」の例文・使い方・用例・文例
- <wend, waver<wave.
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