W88の意外な新事実
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:31 UTC 版)
「テラー・ウラム型」の記事における「W88の意外な新事実」の解説
1991年にサンノゼ・マーキュリー新聞の記者は、トライデントII型SLBMに搭載されるMIRVの小型核弾頭W88についてレポートし、W88は回転楕円体(卵形、またはスイカ形)のプライマリー(暗号名は“コモド”)と、球体のセカンダリー(暗号名は“カーサ”)を内部に持ち、特別な(ピーナッツに似た)形状の放射性物質の容器に入っていると報告した。この報告から4ヶ月後に、ニューヨーク・タイムズのウィリアム・ブロードは1995年に起きた中国からの二重スパイに関するレポートを行い、スパイがもたらした情報によって中国はW88核弾頭の詳細を知った可能性があると伝えた(この調査は結局、中国人スパイのウェン・フー・リー(李文和)の裁判で敗訴をもたらした)。もしこの内容が事実であれば、テラー・ウラム型のバリエーションとしてMIRV化核弾頭の小型化が可能であることを示している。 回転楕円体のプライマリーが実際に存在することの価値は、プライマリーの直径で決まっていたMIRV化核弾頭の大きさを、(球形楕円体のプライマリーが正しく動作するなら)今までの高核出力の弾頭よりかなり小型化できることを示している。W88核弾頭は、最大径55cm、高さ175cmの大きさで、質量はおよそ360kg以下でありながら、核出力は最大475キロトンまで上げることが可能である。小型の核弾頭は1基のミサイル内に多数を搭載することが可能であり、同様にミサイルの速度と射程を向上させることができる。 非球形のプライマリーに対する計算量は、球形のものに比べてより大量で難しいものとなり、例えば中国の様な既存の核戦力に対して興味深いものとなっている(核出力が可変であることの情報になるため、彼らはもはや核実験を実施していない)。
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