VIA_C7とは? わかりやすく解説

VIA C7

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/09 13:08 UTC 版)

VIA C7
VIA C7-D (NanoBGA2版)
生産時期 May 2005から
生産者 VIA
CPU周波数 1.0 GHz から 2.0 GHz
FSB周波数 400 MHz から 800 MHz
命令セット x86
コア数 1
ソケット Socket 479
コードネーム Esther (C5J)
前世代プロセッサ VIA C3
次世代プロセッサ VIA Nano
L1キャッシュ 64 KiB instruction + 64 KiB data
L2キャッシュ 128 KiB 32-way exclusive
テンプレートを表示

VIA C7(ヴィア シー・セブン)は台湾VIA Technologiesが販売するx86互換プロセッサである。同社VIA C3の後継製品である。

概要

VIA C7は2005年5月にVIA Technologiesが発表したx86互換プロセッサである。開発コードはEsther (C5J)。設計はCyrixIIIおよびC3同様、わずか100人足らずの技術者からなる旧Centaurチームが担当した。

従来の同社CPU同様、低価格・低消費電力・使用頻度の高いアプリケーションにフォーカスした性能設計となっており、トータル性能では競合他社製品に劣る面も多い。しかし省電力性については中国標準化認証センターから省エネ認定を受けるなど評価がされており、カーボンフリープロセッサとして省エネ面でのアピールも行われている。

C7はCPU単体では販売されず、主に21mm四方のNanoBGA2パッケージでマザーボードオンボード搭載された状態で販売されているが、VIA EPIA PNシリーズにおいて例外的にMicro PGA479パッケージのC7が搭載された。しかしこれは同マザーボードのオンボード扱いであり、他のSocket 479対応マザーボードでの動作は想定されていない。

C7は公式には2005年5月に出荷開始となっていたが、市場調査によると、量産品はその時には出荷していなかった。2006年5月にVIAとインテルとのクロスライセンスの期限が切れたが更新されなかった。これは、2006年5月31日にはC3の出荷を終了しなければならなかったからである。またこれにより、VIAはSocket 370に対する製品化の権利を失った。

設計方法論

競合他社は一般的にはトランジスタ増大による性能向上策を採用するが消費電力の増加も招く。一方、VIA/Centaurは同社の伝統であるバランスの取れたパフォーマンスを目指す手法をとった。

  • C3シリーズの設計哲学の基本は、もし効果的な「フロントエンド」すなわちプリフェッチやキャッシュ、分岐予測機構などを取り入れたならば、複雑なスーパスカラやアウトオブオーダーを備えたコアに対して、インオーダーのシンプルなコアの方がリーズナブルな性能がでる、というものだった。
  • この記事に書かれている通り、C7の場合、設計チームはより一層チップの「フロントエンド」、すなわちプリフェッチ機構と同様にキャッシュのサイズやウェイ数、スループットに注力するようになった。

特徴

VIA C7-D(microPGA479版)
  • クロック周波数2GHzにして20W以下の低TDP。それに対して、インテルDothanコアの2.0GHz Pentium Mでは、21W (FSB 400MHz) ないし27W (FSB 533MHz) のTDPである。
  • L2キャッシュは64kBから128kBに増え、C3では16ウェイセットアソシエイティブだったのがC7では32ウェイセットアソシエイティブに増加。
  • VIAはC7バスは物理的にはPentium MのSocket479パッケージをベースとしているが、法的侵害を避けるためにIntelのAGTL+ Quad Pump式バスの代わりに独自の信号形式のVIA V4バスを使用している、とVIAは発表している。評論家たちは同じマザーボードにPentium MとC7両方を挿すことができることに気づいた。これは報道によればVIAのFlexi-Bus technologyによるもので、CPUを自動判別するものだとしている。
  • Twin Turboテクノロジーは2つのPLLから構成され、一つが高速なクロックで動作し、もう一方が低速なクロックで動作している。これによりプロセッサのクロックをたった1クロックで調整できる。これはインテルのSpeedStep テクノロジと比べて非常に速く、より高度な電力管理ができる。
  • 拡張命令であるSSE2とSSE3をサポート。
  • バッファオーバーフローの低減やウィルス攻撃に対する防御としてNXビットを導入。
  • SHA-1とSHA-256のハードウェアレベルでサポート。
  • 公開鍵暗号のために32k長までの鍵サイズをサポートするモンゴメリ乗算をハードウェアレベルでサポート。
  • IBM半導体部門によって開発された90nmのSOI製造プロセスへの移行。

バリエーション

販売されているC7には3つの主なバージョンがある。ただしこれらを総称し単にC7と呼称されることが多い。

種別 用途 クロック FSB(MHz) パッケージ 省電力技術
C7
C7 Eden
デスクトップPC・組込 533MHz-2.0GHz 400/533/800 MicroPGA479
NanoBGA2
?
C7-D 1.5-2.0GHz 400/533
C7-M ノートPC・組込 400 NanoBGA2 Enhanced PowerSaver
C7-M ULV 1.0-1.5GHz
PV530 デスクトップPC・組込 1.8GHz+ 800

採用例

VIA C3同様、主にVIA社製Mini-ITXマザーボードにオンボード搭載されて組込市場で利用されている他、英国Evesham Technology、 Tranquil PCのカーボンフリーPC、米国Everex Systemsのノートパソコン、OQO model 02や一部のUMPCにも採用がされた。 さらに2008年にはヒューレット・パッカードがC7-Mを採用したHP2133 Mini-NotePCを発表。VIA社プロセッサが大手PCメーカーの機種に採用された初の例となり、国内でも注目を集めた。

従来の同社CPUと比較し、着実にPC市場での存在感を高めている。

脚注

外部リンク


「VIA C7」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「VIA_C7」の関連用語

VIA_C7のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



VIA_C7のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのVIA C7 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS