V3 を含む3次視覚皮質複合体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/20 14:40 UTC 版)
「視覚野」の記事における「V3 を含む3次視覚皮質複合体」の解説
3次視覚皮質複合体という用語は V2 の前部に接する皮質領域を示し、V3領域を含んでいる。ヒトにおいて、"複合体"という名前は V3 と呼ばれる領域の正確な範囲について、V2 の前にある領域は2、3の機能的な下位領域を含んでいるとする研究者によって論争が起きているという事実による。例えばデイヴィット・ヴァン・エッセン (David Van Essen) ら (1986) は大脳半球の上部に "背側 V3" (dorsal V3) という領域が存在し、脳の下部に位置する"腹側 V3" (ventral V3, 腹側後部領域, ventral posterior area, VP) とは異なると提唱している。背側 V3 と腹側 V3 は脳の異なる領域から異なる接続を受け、多くの染色法によってことなる染まり方をし、視覚刺激の異なる組み合わせ (例えば色選択的ニューロンは腹側 V3 に多い) に応答する。他の下位領域として、V3A と V3B がヒトにおいて報告されている。これらの下位領域は、背側 V3 の付近に存在するが V2 とは区別される。 背側 V3 は通常、背側皮質視覚路の一部と考えられ、V2 と一次視覚野から入力を受け、後頭頂葉に投射している。解剖学的にはブロードマンの脳地図における19野に位置する。fMRI による最近の研究によって V3/V3A 領域は広域的な動きの処理に関わるとされている。背側 V3 を全視野を表現する背内側野 (DM) と呼ばれる大きな領域の一部と考える他の研究も存在する。背内側野のニューロンは視野の大部分を占める大きなパターンの同期した動きに応答する。(Lui and collaborators, 2006) 腹側 V3 (VP)は一次視覚野からの非常に弱い結合と、下側頭回との強い結合を持つ。初期の研究では、腹側 V3 は視野の上半分 (固視点の上側) を表現している領域のみを指していた。しかし、より最近の研究では、腹側 V3 は以前考えられていたよりもより広く、他の視覚野と同様に視野全体を表現する領域を考えられている。この改訂されたより広い腹側 V3 はローサ (Rosa) とツィーデル (Tweedale) によって腹外側後部領域 (VLP) と呼ばれた。
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