USドル・ユーロ相場の位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 00:15 UTC 版)
「ユーロ」の記事における「USドル・ユーロ相場の位置づけ」の解説
強いユーロはヨーロッパ経済に光も陰ももたらした。光とは、強いユーロによっていまだにUSドルで取引されることの多い原材料の価格を安く買い入れることができたことである。陰とは、強いユーロによってユーロ圏の輸出品が相手先で高くなり、ユーロ圏の経済成長がある程度阻害されたことである。しかしユーロ圏の規模もあって、為替相場とその変動幅によるリスクはそれぞれが異なる通貨を使用していたころよりもはるかに低減した。とくに2007年の初旬には、世界経済の成長が緩やかだったにもかかわらず、ヨーロッパ経済が平均を上回る成長率を達成した。 2002年までのユーロ相場の下落は、当時ユーロ紙幣や硬貨が存在しなかったということがその原因のひとつに挙げられ、そのために当初ユーロは、ファンダメンタルが適切なものだった場合に比べて低く評価されていた。ヨーロッパの共同市場における経済の問題のためにユーロ相場の下落傾向は強まり、またこの流れのために域外の投資家がヨーロッパへの投資に魅力を感じないということにもつながっていった。ユーロ紙幣・硬貨の流通が開始されるとまもなく、過小評価されていたユーロ相場は上昇に転じた。2005年以降のヨーロッパ経済、特に輸出の持ち直しはユーロ相場のさらなる上昇をもたらした。このほかにも中長期なユーロ相場の上昇をもたらしたと考えられる原因があり、特に以下の3つが挙げられる。 アメリカの慢性的な財政・経常赤字とそれらにともなう累積債務の増大 中国、インド、日本、ロシアなどのおもな諸国の外貨準備の将来的な変動 石油輸出国による、USドルに加えてユーロを決済通貨としたい意向 将来的にユーロ未導入の欧州連合加盟国が加わる予定となっており、またこれらの国々でもユーロが現行通貨に替わって法定通貨となることから、拡大を続ける欧州通貨同盟が心理的に有望視されているということもユーロが軽んじられない要因となっている。さらにこのことはユーロの強大化に少なからず寄与しており、またユーロの国際的評価や経済的重要性を上昇させている。
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