交易利得・損失 (Trading Gains/Losses)
推計上は、交易利得・損失は以下の推計式により算出される。
※数式略、こちらからPDFでご覧ください( 6頁参照)。
(注)(a)式は、直感的には以下のように理解することができる。 (a)式の第1項の分子(X-M)は、海外との貿易を通じて得られる名目所得を表している。これは、次の3つの要因によって規定される。 (1)輸出入数量 (2)輸出入価格の全般的水準 (3)輸出入の相対価格(いわゆる交易条件) ここで、要因(2)について若干の説明が必要であろう。輸出入数量(要因(1))や交易条(要因(3))が不変であっても、貿易を通じて得られる名目所得は変化し得る。例えば、輸出入される財貨・サービスの価格が全般的に2倍に上昇すれば、名目所得も2倍になる。要因(2)は、このような輸出入価格の全般的な動きを捉えるものであり、(a)式においてはP(ニュメレール・デフレーター)で表されている。ニュメレール・デフレーターの選択については議論が分かれるところだが、わが国の国民経済計算では輸出入価格の加重平均を採用している。 さて、(a)式の第1項は、(X-M)をPで除して要因(2)の影響を取り除いたものであり、貿易を通じて得られる実質所得を表す。一方、(a)式の第2項は、輸出入の数量差であり、要因(1)によって規定される実質所得を表している(なお、これはすでに実質GDPに反映されている)。したがって、(a)式の第1項から第2項を控除した結果は、要因(3)(交易条件)の変化に伴う実質所得の変化を捉えるものであり、また、貿易を通じて得られる実質所得のうち実質GDPには反映されていない部分を表している。
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