SLトランススプライシング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 09:12 UTC 版)
「トランススプライシング」の記事における「SLトランススプライシング」の解説
スプライスリーダー(SL)トランススプライシングは特定種の微生物、特にキネトプラスト類の原生生物の遺伝子発現のために利用される。これらの生物では、キャップが付加されたスプライスリーダーRNA(SL RNA)が転写され、それと同時に遺伝子が長いポリシストロン(英語版)の転写産物として転写される。キャップが付加されたSL RNAは各遺伝子へトランススプライシングされ、キャップが付加されポリアデニル化が行われたモノシストロンの転写産物が形成される。原生生物など初期に分岐した真核生物にはイントロンがほとんど存在せず、スプライソソームの構造的組み立てには他ではみられないような多様性が存在する。また、キャップに結合するeIF4Eには特別な役割を持つ複数のアイソフォームが存在する。 他の一部の真核生物、渦鞭毛藻、海綿動物、線形動物、刺胞動物、有櫛動物、扁形動物、甲殻類、毛顎動物、輪形動物、尾索動物も程度の差はあるもののSLトランススプライシングを利用する。尾索動物の1種カタユウレイボヤ(英語版)Ciona intestinalisにおけるSLトランススプライシングは、トランススプライシングを受ける遺伝子・受けない遺伝子といった従来型の二分法ではなく、遺伝子のトランススプライシングの頻度による定量的な記載が行われている。 SLトランススプライシングの機能の1つは、オペロンからのポリシストロン転写産物を、5'末端にキャップが付加された個々のmRNAへと分割することである。転写産物のアウトロン(英語版)は、通常のスプライシング過程におけるラリアット構造に似たY字型構造をSL RNAのイントロン様領域との間で形成することで除去され、それによってSL RNAのリーダー配列と各シストロンのオープンリーディングフレームが連結される。
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