SCOとGPL
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 09:43 UTC 版)
「SCO・Linux論争」の記事における「SCOとGPL」の解説
フリーソフトウェア財団(FSF)の法務顧問・エベン・モグレン(当時)は、FSFの見解として次のように述べた。すなわち、SCOが守秘義務の違反や著作権の侵害を主張するソースコードは、SCO自身が何年も前からGNU General Public License(GPL)にのっとってLinuxを頒布しているため、同社の主張は成り立たない。 SCOはこれに対し、自社のコードがLinuxに含まれていることを知らなかったのであるから、GPLによる頒布をしたことにはあたらないと反論した。ただ、SCOが自社の主張を唱え始めてから数年後の2006年7月~8月になっても、ELFファイル形式に関連するファイル(SCOがSystem V関係のファイルであると主張するファイルの一部)が同社のFTPサーバーからGPLでダウンロード可能な状態にあった。 訴訟の初期の段階で、SCOはGPLが無効であり、法的効力はないとも訴えた。前出のエベン・モグレンはこれに対し、SCOがLinuxを頒布できたのは、GPLがあったからにほかならないと主張した。後にSCOは「SCO対IBM」裁判でIBMから反訴を受けた際、ライセンスに従っているとした。 「SCO対IBM」裁判でGPLが問題点として取り上げられるようになった。米国の著作権法においては、第三者が著作権を保有する著作物を頒布するには著作権者の許可を得る必要があり、通常はライセンスの形でこの許可が与えられる。GPLはそうしたライセンスの一例であり、一定の制約のもとに頒布が許される。IBMは問題となっているコードをGPLで公開したため、Linuxに含まれるIBMのコードをSCOが複製および頒布するにはGPLが定める条件を満たなければならず、その中にはGPLを「承諾する」ことも含まれている。IBMは、SCOがGPLを公に無効だといい、さらに米国憲法、著作権法、輸出管理法令に反すると主張するのはGPL違反であると主張した。また、SCOが展開するSCOsourceプログラムは、GPLに基づいて公開された著作物の(複製やサポートの手数料を請求することはできるが、ライセンスは無料でなければならないとする)頒布要件に合致しないとした。その上でIBMは、SCOがIBMの著作物を有料のライセンスで頒布することによって、GPLに違反し、IBMの著作権を侵害していると反訴した。
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