オシント【OSINT】
読み方:おしんと
オープン・ソース・インテリジェンス
(OSINT から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/14 02:51 UTC 版)
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オープン・ソース・インテリジェンス(英: Open-Source Intelligence)とは、合法的に入手できる資料を調べて突き合わせる手法である。OSINT(オシント)と略す。オープン・ソース・インベスティゲーション(公開情報調査、英: Open-Source Investigation)と呼ばれる事もある[1]。
1980年代から諜報・諜報活動で用いられるようになってきた[2]。他のヒューミント(HUMINT)やシギント(SIGINT)と呼ばれる手法が主として「秘密の情報を違法行為を厭わずに得る」ことを旨とするのに対し、公開されている情報(つまりは合法な)を情報源とすることが特徴である[注釈 1]。
概要
オシントは「合法的に入手できる資料」を「調べて突き合わせる」手法である。情報源は政府の公式発表(プレスリリース)、マスメディアによる報道・インターネット・新聞・書籍・電話帳・科学誌その他を含む。具体的には、対象国の方針を割り出すために、対象国の新聞社交欄、ニュースの断片、人事の異動発令、発表報道などを丹念に集積し、分析するといった手法である。
さらに一般的な例として、ある個人アカウントでの停電や列車の運転中止の書き込み、投稿された画像・動画に記録されている位置情報や映り込んでいる物事から所在を割り出すなどのいわゆる「特定」[4]もオシントの一種である。
細かいデータを少しずつ集めて分析するだけでも、相当な精度の情報が得られることがある。但し、公開されている情報自体がフェイク情報な場合もあり、ファクトチェックが前段階として重要となる。媒体入手・分析は、駐在国大使館で行なわれることが多い[注釈 2]。また情報自体が非常に膨大となるため、情報の整理が非常に重要となる。ラジオ放送の受信など、自国領内を拠点とするような活動もある。
運用する組織
オランダ
- Oryx (ウェブサイト) ‐ オランダを拠点とする民間人によるOSINT・軍事研究組織[5]。
イギリスでの事例
アメリカ
1941年2月26日、外国の放送を監視する機関である外国放送監視局(FBMS)を設置。同年12月に第二次世界大戦参加で外国放送情報局 (FBIS)となる。この成果は、鉄道橋爆破の成功をパリのオレンジ販売価格から読み解く報告などとなる[7]。
- オープンソースエンタープライズ - BBCモニタリングと共同で情報の解析を行なっていた[6]。
日本での事例
トピック
立花隆の『田中角栄研究』は、対人取材は無く、登記情報や新聞記事などに拠るオープン・ソース・インテリジェンスの手法で執筆したという。
ツール
recon-ng
Tim Thorne氏によって開発されたペネトレーションテスト・ツールである[8]。Kali Linuxに搭載されている。Metasploitに似たインターフェースを持ち、データベース管理やレポート出力、多数のOSINTモジュール(ドメイン検索、連絡先抽出など)を備える。インターネットのSNSなどから、自動的に情報を収集する機能も存在する[9][10]。
RuleWatcher
日本国内の事例としては、株式会社オシンテックが提供する「RuleWatcher」が挙げられる[11]。同ツールは世界中の公的機関や国際機関が発信する持続可能性にかかわる政策動向を対象としたOSINTツールであり、企業の経済安全保障や国際的なルール形成戦略における意思決定を支援するために利用されている[12][13]。
脚注
注釈
出典
- ↑ 高木徹 (2020年5月16日). “41歳のゲーマー、部屋から一歩も出ずに権力者の不都合な真実を暴く 謎のネット調査集団を追え”. 現代ビジネス. 講談社. 2021年4月21日閲覧。
- ↑ “OSINT(オープンソース・インテリジェンス)とは? その活用法を解説”. CANON ESET SPECIAL SITE サイバーセキュリティ情報局 (2021年9月1日). 2022年10月23日閲覧。
- 1 2 奥田 2011, 第5章1節.
- ↑ 安藤文音; 江田剛章; 徳田隼一 (2021年6月11日). “追跡 記者のノートから なぜ特定される?SNSに潜むリスク”. NHK事件記者 取材note. NHK. 2022年5月29日閲覧。
- ↑ 竜仁, 石動. “「戦争から利益を得ることはしたくない」Oryx創設者が語るウクライナでの“OSINT最前線”《世界初インタビュー》”. 文春オンライン. 2023年5月25日閲覧。
- 1 2 “BBC Monitoring: MPs raise fears over service's future” (英語). BBC News (2016年12月20日). 2023年5月25日閲覧。
- ↑ “Service members, civilians learn to harness power of 'Open Source' information” (英語). www.army.mil. 2023年5月25日閲覧。
- ↑ Thorne, Tim. “Recon-ng: Open Source Intelligence Framework written in Python” (英語). GitHub. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ OccupyTheWeb. “Open Source Intelligence (OSINT) Part 2: Recon-ng to Identify the Same User on Multiple Platforms” (英語). Hackers-Arise. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ Maji, S.; Jain, H.; Pandey, V.; Siddiqui, V. A. (2022). “White hat security-an overview of penetration testing tools” (英語). SSRN Electronic Journal (SSRN). doi:10.2139/ssrn.4159095 2026年4月14日閲覧。.
- ↑ “RuleWatcher: 世界のルール形成を可視化するOSINTプラットフォーム”. OSINTech Inc.. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ 山家公雄 (2022年4月12日). “RuleWatcherによるルール形成の可視化:エネルギー・環境を例に”. 京都大学大学院経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ 『OSINT(オシント)を活用したルール形成戦略プラットフォーム「RuleWatcher(ルールウォッチャー)」が正式版をリリース』(プレスリリース)株式会社OSINTech、2021年3月31日。PR TIMESより2026年4月14日閲覧。
参考文献
- 奥田泰広『国家戦略とインテリジェンス いま日本がイギリスから学ぶべきこと』PHP研究所、2011年6月。ISBN 978-4-569-79689-5。
- 立花隆『田中角栄研究 全記録』 上 金脈追求・執念の五〇〇日、講談社、1976年。
ISBN 978-4-06-143470-7。
- 立花隆『田中角栄研究全記録』 (上)、講談社〈講談社文庫〉、1982年8月15日。 ISBN 978-4-06-134168-5。
- 立花隆『田中角栄研究 全記録』 下 ロッキード事件から田中逮補まで、講談社、1976年。
ISBN 978-4-06-143471-4。
- 立花隆『田中角栄研究全記録』 (下)、講談社〈講談社文庫〉、1982年8月15日。 ISBN 978-4-06-134169-2。
- 福好昌治「日本人が主力のOSINT部隊がキャンプ座間にあった! 米太平洋陸軍:知られざる「情報部隊」の全貌」『ワールド・インテリジェンス』第5巻、ジャパン・ミリタリー・レビュー、2007年3月、112-124頁。
外部リンク
- 【FACTA】2007年10月号:「ネット空間に「アルカイダ追捕使」」
- 【Wired】2008年02月19日付:ニュースを「インテリジェンス」に変えるツール - ウェイバックマシン(2011年6月21日アーカイブ分)
- 【ITmedia】2013年03月08日付:脆弱性も個人情報も丸見え? 危険な「無料の情報収集ツール」
- 朝日新聞GLOBE+ OSINT(オシント)実際にやってみよう 写真の場所、断片的な手がかり集めて特定
関連項目
- OSINTのページへのリンク