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MG FF 機関砲

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/11 14:41 UTC 版)

MG FF 機関砲
MG FF 機関砲
種類 航空機関砲
製造国 ドイツ国
設計・製造 マウザー・ヴェルケ
年代 第二次世界大戦
仕様
種別 航空機関砲
口径 20 mm
銃身長 822 mm
使用弾薬 20×80 mm RB
装弾数 30/45/60/90発ドラム弾倉
作動方式 APIブローバック方式
全長 1,338 mm
重量 26.3 kg
発射速度 毎分520-540発
銃口初速 600 - 700 m/s
歴史
設計年 1936年/1940年 ※MG FF/M
製造期間 1936-1941年
配備期間 1937-1941年/1943-1945年
配備先 ドイツ空軍
関連戦争・紛争 第二次大戦
バリエーション MG FF、MG FF/M
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MG FF 機関砲(MG FF きかんほう)は、スイスエリコンFF 20 mm 機関砲ドイツにおける派生型(ライセンス生産品の独自改良型)である。

名称の"MG FF"とは"Maschinengewehr, Flügel Fest"の略号で、「翼内固定式機関銃」の意味である。

概要

1936年ドイツのイカリア社(Ikaria, Gesellschaft für Flugzeugzubehör mbH[1])によって開発された。

MG FFは攻撃・防御両用として使用可能なように設計されており、主に第二次世界大戦の初期にドイツ空軍で多用されたが、1941年から20 mm MG151/20に徐々に切り替えられていった。

開発

MG FFは、メッサーシュミット Bf109モーターカノン[2]として搭載されるはずだったエリコンFF 20 mm 機関砲が、実際に現物を搭載してみるとBf109のエンジンであるダイムラー・ベンツ DB 601のシリンダー間隔が小さすぎて銃身が収まらず、モーターカノンとしては搭載できなかったため、これに対処した20 mm機関砲として開発された、という経緯を持つ。ただし、モーターカノンとしてはエンジンからの振動が原因で作動不良に悩まされることとなり、結局主翼や双発機の機首に搭載され、広く使われるようになった。

エリコンFFが原型になっているため、より大型のエリコンFFSから開発されたイスパノ・スイザ HS.404などに比べて、低い砲口初速、弾倉がドラム式に限定されているといった短所があった。MG FFはエリコンFFより小型に設計されていたが、Bf109とフォッケウルフ Fw190などの戦闘機への翼の搭載にはドラム弾倉がかなりのスペースを必要とするために簡単ではなく、弾倉の直径を抑えた結果、弾数が1ドラムあたり60発しかない、という問題も生じている(後には90発用のドラム弾倉がFw190A-5のために開発された)。また、ベルト給弾方式とする実験も行われたが、採用にはいたらなかった。

1940年夏には弾殻を薄くし炸薬を増加させた薄殻弾頭に対応するために復座ばね(リコイルスプリング)を変更したMG-FF/M[3]が登場し、Bf109E-4とBf 110 C-4に搭載された。

MG FFとFF/Mは、戦闘機にはBf 109 E-3~F-1、Bf 110 C-FそしてFw 190 A-1~A-5に搭載され、爆撃機ではDo 17Do 217Ju 88He 111などに搭載された。また、艦載水上機のAr 196 にも搭載された。

1941年からMG FFは、順次MG151/20に取り替えられたが、Bf 110の後部コックピットにちょうど収まったので、1943年にBf 110夜間戦闘機型にシュレーゲムジーク[4]として搭載され再び使用されることになった。

性能

  • 砲口初速:600 m/s(MG FF), 585 m/s(FF/M APまたはHE使用時), 700 m/s(MG FF/M 薄殻弾頭使用時)
  • 発射速度:520 rpm(MG FF, FF/M APまたはHE使用時), 540 rpm(MG FF/M 薄殻弾頭使用時)

搭載機体

脚注

  1. ^ イカリア社はベルリンの郊外に工場を構えていた航空機部品製造メーカーで、1934年にスイスエリコン社の子会社として設立され、航空機銃と航空機銃用銃架、およびプレキシグラス製航空機用風防を製造した。

    “イカリア(Ikaria)”とはギリシャ神話に登場するイーカロスに由来し、「イーカロスの」という意味である。

  2. ^ 単発戦闘機のエンジンに直接機関砲を装着し、プロペラの駆動軸を中空としてその中に砲身を通すことで、プロペラに干渉せずに機銃を装備できるようにした武装搭載方式。
  3. ^ /MのMは"Minengeschoss"(直訳すると「爆雷弾頭」、強装薬薄殻弾頭を指す)の意である。
  4. ^ 装備機の斜め上方を射撃できるように機銃を装備する方式

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Bf 109 EBf 109 Eは、ダイムラー・ベンツ DB 601 Aを搭載した機体で、第二次世界大戦初期の主力機となった。E-1は機首上面と主翼にMG17を合計4門装備した。E-2型はMG FFをモーターカノンとして装備したが機首上面のMG17共々振動問題を克服できず、後に続くE-3型ではMG FFは翼内装備となった。E-4型にはMG FF/Mが装備され強装薬の薄殻榴弾の使用能力を得、バトルオブブリテンが始まると共に以前の型式もE-4型に改装された。E-5はE-3型の、またE-6型はE-4/N型の偵察型として生産され、共にMG FFを外してカメラとMG17を2門装備していた。バトルオブブリテンで航続距離の短さが問題となり、300Lの増槽が装備可能なE-7型が生産されて40年8月の下旬に戦線投入された。E-4型とE-7型には出力向上させたDB 601 Nも使用され、それぞれE-4/NとE-7/Nと呼ばれた。E-8型はE-1型に増槽を装備できるよう改造した型で、E-9型はE-7/Nの偵察型としてMG FF/Mを外してカメラを搭載した型だった。E-1とE-4型には派生型の戦闘爆撃機仕様のE-1/B、E-4/B、E-4/BNが存在し、E-7/NにはGM-1を装備したE-7/NZが存在した。Bf 109 FBf 109 Fは、ダイムラー・ベンツ DB 601 N及び改良されたDB 601 Eエンジンが搭載された機体。大きな性能向上を果たし、中期の主力機となった。空気抵抗を減少させる設計に刷新された。この型式にいたってようやくモーターカノンの搭載が可能となった。Bf 109 G
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