吉田カバンとは? わかりやすく解説

吉田カバン

(LUGGAGE LABEL から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/23 11:37 UTC 版)

株式会社吉田
YOSHIDA&CO.,LTD.
本社(中央の灰色の建物)
本社(中央の灰色の建物)
種類 株式会社
市場情報 非上場
略称 吉田カバン
本社所在地 日本の旗 日本
〒101-0031
東京都千代田区東神田1丁目17-6 C&Kビル
北緯35度41分42.0秒 東経139度46分53.7秒 / 北緯35.695000度 東経139.781583度 / 35.695000; 139.781583座標: 北緯35度41分42.0秒 東経139度46分53.7秒 / 北緯35.695000度 東経139.781583度 / 35.695000; 139.781583
設立 1935年4月1日
業種 その他製品
法人番号 1010001031711 ウィキデータを編集
事業内容 鞄の製造、卸販売、小売
代表者 吉田幸裕(代表取締役社長)
資本金 2,000万円
売上高 184億円(2017年5月現在)
従業員数 216名(2017年12月現在)、内社員数167名
関係する人物 吉田吉蔵(創業者)
吉田滋(元社長、創業者の長男)
吉田輝幸(前社長、創業者の次男、現社長の父)
吉田克幸(元チーフディレクター)
外部リンク https://www.yoshidakaban.com/
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吉田カバン(よしだカバン)は、日本の鞄メーカー「株式会社吉田(よしだ)」の通称。「吉」の正確な表記は「𠮷」(「土」の下に「口」、つちよし)である[注 1][注 2]。自社ブランドであるPORTER(ポーター)をはじめとする製品を展開している。一貫した国内生産を標榜し[1]、カジュアルやビジネスなど性別、年代を問わず様々な商品を発表している[1]。近年ではアジア圏を中心に海外にも認知を広げ始めている。

沿革

創業者・吉田吉蔵は、神奈川県高座郡寒川町の農家に8人兄弟の次男として生まれ、12歳で上京して鞄店に奉公し、鞄職人として修業を積んだ[2]。

1935年(昭和10年)、吉蔵が29歳で神田須田町に前身となる「吉田鞄製作所」を設立[2]。

1951年(昭和26年)、現在の「株式会社吉田」に改組し、東神田に本社を移転させた。

1950年代後半、吉蔵の長男で、後に2代目社長となる吉田滋が海外へ渡り、イタリアやニューヨークなどを視察。帰国後、海外から持ち帰った革などを用い、日本の技術による製品化を模索した[3]。

1962年(昭和37年)、自社ブランドである「PORTER」を立ち上げる。

1981年(昭和56年)、創業者・吉田吉蔵の息子で、同社のチーフディレクターを務めた吉田克幸が、日本人として初めて「ニューヨーク・デザイナーズ・コレクティブ」のメンバーに選出された[4]。

1983年(昭和58年)、克幸が手がけた「TANKER」シリーズを発表。MA-1フライトジャケットをモチーフとし、オリジナルで開発した中綿入りの3層構造生地を採用した[5][6]。

1984年(昭和59年)、「LUGGAGE LABEL」ブランドを立ち上げる[1]。

2002年(平成14年)、2代目社長を務めた創業者・吉田吉蔵の長男・吉田滋の後を継ぎ、吉蔵の次男・吉田輝幸が3代目代表取締役社長に就任[1]。

2011年(平成23年)、3代目社長・吉田輝幸の息子である吉田幸裕が吉田カバンへ入社。慶應義塾大学卒業後[7]、父・吉田輝幸の勧めでイタリアに渡り、現地でカバン作りの技術を習得[8]。2011年(平成23年)に吉田カバンへ入社し、品質管理部、生産本部、大阪営業部、販売など、複数の部門を経験した[9]。

2020年(令和2年)、吉田幸裕が36歳で4代目代表取締役社長に就任[7][9]。

経営の継承

同社では創業以来、吉田家による経営が続いている。3代目社長の吉田輝幸は、経営者について今後も世襲とする方針を示しており、その理由について、経営者が頻繁に交代することで会社の方針がぶれることを避け、企業としての軸を維持するためとしている[10]。

歴代社長

代 氏名 備考
初代 吉田吉蔵 創業者
2代 吉田滋 吉田吉蔵の長男
3代 吉田輝幸 吉田吉蔵の次男、吉田滋の弟
4代 吉田幸裕 吉田輝幸の息子

吉田克幸とTANKER

創業者・吉田吉蔵の息子である吉田克幸は、同社のチーフディレクターとして鞄の企画・デザインに携わった。1960年代から各国を訪れ、海外の文化に触れる一方、若くして同社で鞄の企画を任されていた[11]。1981年(昭和56年)には、日本人として初めて「ニューヨーク・デザイナーズ・コレクティブ」のメンバーに選出された[12]。

克幸が手がけた代表的な製品が、1983年(昭和58年)に発売された「TANKER」シリーズである。開発にあたっては、当時日本にはほとんど入ってきていなかったMA-1フライトジャケットの生地に着目し、これをバッグに応用した。生地や金具、ファスナーもオリジナルで製作された[13]。

TANKERは発売当初から大きく売れた商品ではなかったが、同社では生産量を抑えながら販売を継続した。発売から10年以上を経た1997年(平成9年)、木村拓哉が主演したテレビドラマ『ラブジェネレーション』で、木村が私物のTANKERを使用したことなどを契機に問い合わせが殺到し、同シリーズがブレイクした。これをきっかけに同社製品の認知度も高まった[14][15]。

克幸はその後吉田から独立し、2007年(平成19年)に息子の吉田玲雄と「PORTER CLASSIC」を設立した[16]。

特徴

国内生産と職人による手作業を重視し、大量生産や安易な値下げを行わない方針をとっている。値引きを行わない理由については、国内の職人の技術に見合った工賃を確保し、その技術を守るためとしている。商品の価格は材料費・工賃・最低限の運用費を基に設定し、広告費をかけないことで、職人や製品そのものに費用を振り向ける経営を行っている[1]。また、多品種少量生産を特徴とし、品質を維持できない場合には生産本数を抑える方針も示している[17]。

高価格帯の商品についても販売実績を上げており、東レとの共同プロモーションによる価値訴求の結果、「高価格帯ながらも好調な販売」につながったとしている[18]。

創業90年以上の歴史を持ち、業界の垣根を越えて様々な分野の企業やブランドとのコラボレーション商品を発表している。また、藤原ヒロシプロデュースブランドの「HEAD PORTER」や、BEAMSとの協業ショップ「B印YOSHIDA」なども展開してきた。

ブランド一覧

  • PORTER - 同社の主力ブランド。名前の由来はホテルでの鞄の運搬係(ポーター)から来ている[19][20][21]。
  • LUGGAGE LABEL(ラゲッジレーベル) - 1984年に誕生したブランド。こだわりを持つ高感度なユーザーをターゲットにし、製品としての完成度を高めたブランドとなっている[22]。
  • YOSHIDA(ヨシダ) - 2004年に誕生したブランド。世界市場を視野に入れ、当初は海外の企業やブランドとのコラボレーションを念頭に商品開発がされていたが、2008年には国内の特定店舗にて自社単独企画の商品を発表するようになる[19][23]。
  • PORTER GIRL(ポーター ガール) - 2009年に誕生した女性向けブランド。機能性を持ちながら女性らしさを意識したアイテムを取り扱っている[19]。
  • POTR - 2022年11月にファーストラインをリリース。「ひとつのステッチが人と暮らしをつなぐ。世界が近くて多様性があふれる時代。様々な人たちのライフスタイルに寄り添いながら暮らしを豊かにする。」。[24]

過去に展開していたブランド一覧

  • Porter dash

店舗展開

2019年5月現在、直営店・オンリーショップ・コンセプトショップの3形態で店舗展開を行っている。

直営店

  • PORTER

国内3か所(表参道、丸の内、大阪)に3店舗が展開[25]。

オンリーショップ

  • KURA CHIKA by PORTER(クラチカ バイ ポーター)

国内外に24店舗(2019年5月現在)が展開されており、うち海外店舗は香港・マカオ・台湾の3か所に計9店舗存在している[25]。店名のKURA CHIKAは創業者・吉蔵の蔵(くら)とその妻である千香(ちか)の名前を合わせたもの[19]。

コンセプトショップ

  • PORTER STAND(ポーター スタンド)

雑踏に面して展開されている店舗形態。「スタッフと客があらゆるコミュニケーションを図る場所」というコンセプトのもとに作られている[26]。品川駅、東京駅、京都産寧坂の3か所に店舗が存在する[26][27]。

  • POTR(ピー オー ティー アール)

上記PORTER STANDに続いて誕生した店舗形態。名前はPORTERの略字であり、ファクトリーをイメージした内装を施しているのが特徴[28]。

  • PORTER SEOUL(ポーター ソウル)

韓国のソウル市内に展開されている海外店舗[25]。

PORTERブランド商品一覧(一部)

PORTERのロゴ
  • ANGLE
  • AROUND
  • BLACK PATTERN
  • BARON
  • CAPSULE
  • CASINO
  • CLIP
  • CORNER
  • CORE
  • CORD
  • CREAM
  • CUBE
  • DEEP-BLUE
  • DRIVE
  • DUCK
  • DRAWING
  • DYKE
  • EINS
  • ELDER
  • EXTREME
  • FIELD
  • FREE STYLE
  • GREEN EYE
  • HEAT
  • LEASH
  • LOVE&PORTER
  • METRO
  • MILE
  • NETWORK
  • PAINT
  • RIGBY
  • SMOKY
  • SOAK
  • TAG
  • TANKER
  • TENSION
  • TRIP
  • TRUNK
  • UNION

LUGGAGE LABEL ブランド商品一覧(一部)

  • LINER
  • NEW LINER
  • TREK
  • PROOF
  • ZONE

テレビ番組

書籍

関連書籍

  • 『吉田カバン完全読本』(編者:小林豊孝)(2005年9月10日、枻出版社)ISBN 9784777903658
  • 『なぜ「高くても売れる」のか 平田牧場・吉田カバンのプレミアム仕事術』(著者:小高井尚之)(2011年3月18日、文藝春秋)ISBN 9784163738703
  • 『吉田基準 価値を高め続ける吉田カバンの仕事術』(著者:吉田輝幸)(2015年10月1日、日本実業出版社)ISBN 9784534053220
  • 『別冊カドカワ 総力特集 吉田カバン 80th Anniversary Established in 1935』(著者:KADOKAWA)(2016年3月1日、KADOKAWA)ISBN 9784047319479
  • 『吉田カバン完全BOOK ―PORTER COMPLETE BOOK― BIGMANスペシャル』(著者:世界文化社)(2020年11月16日、世界文化社)ISBN 9784418201419

関連項目

  • ポータークラシック - 創業者・吉田吉蔵の息子で、「TANKER」シリーズなどを手がけた元チーフディレクター・吉田克幸が、息子の吉田玲雄とともに2007年に設立したブランド。
    • KICHIZO/キチゾウ - 株式会社ポータークラシックが2010年4月に展開を開始したブランド。ブランド名は吉田カバン創業者の吉田吉蔵に因む。[30]
  • HARVEST LABEL / ハーヴェストレーベル - 吉田カバンでPORTER、LUGGAGE LABELを手がけたデザイナー山口幸一が1995年に立ち上げたブランド。[31]
  • Perfume - メンバーの西脇綾香(あ~ちゃん)が、現社長・吉田幸裕の夫人。
  • ポーターの製造をしている会社の1つは兵庫県豊岡市に本社がある株式会社タカアキである。(株)タカアキの元役員の男は製造したポーターブランドのカバンを買取店に持ち込み利益を得たため商標法違反と業務上横領の容疑で警視庁により東京地検に書類送検された。[32]

脚注

注釈

  1. ↑ Unicodeでは U+20BB7、「𠮷」。
  2. ↑ ただし、登記上は「𠮷」ではなく「吉」。

出典

  1. 1 2 3 4 5 値下げも大量生産もしない!国産にこだわる下町の大人気カバンメーカー - 日経スペシャル カンブリア宮殿(テレビ東京) 番組紹介ページ 2013/03/03閲覧
  2. 1 2 “日本が世界に誇る鞄メーカーは、いかに生まれ、いかに成長したのか?-「吉田カバン」の教科書”. Begin. 2026年9月23日閲覧。
  3. ↑ “#002 吉田晃務さん(吉田カバン デザイナー)とのおはなし(前編)”. OPENERS. 2026年9月23日閲覧。
  4. ↑ “モノづくりも買い物も「自分が欲しい」という気持ちが大切だ”. Forbes JAPAN. 2026年9月23日閲覧。
  5. ↑ “#003 吉田晃務さん(吉田カバン デザイナー)とのおはなし(後編)”. OPENERS. 2026年9月23日閲覧。
  6. ↑ “ALL NEW TANKER -何も変わらず、何もかもが変わる-”. 吉田カバンホームページ. 吉田 (2024年5月8日). 2026年9月23日閲覧。
  7. 1 2 “Perfumeあ~ちゃん結婚の夫は「吉田カバン」4代目社長と報道…女性芸能人が選ぶ「本当の一般男性」って?”. 日刊ゲンダイDIGITAL (2025年11月20日). 2026年9月23日閲覧。
  8. ↑ “Perfume・あ~ちゃんの結婚相手「一般男性」は吉田カバンの社長 高身長で山本耕史似”. Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社 (2025年11月19日). 2026年9月23日閲覧。
  9. 1 2 “吉田カバンの4代目社長が語る「真面目だからこその茶目っ気や江戸の粋」という魅力は不変”. WWDJAPAN (2025年12月26日). 2026年9月23日閲覧。
  10. ↑ “MADE IN JAPANの追求 【後編】ぶれない経営と「一針入魂」の企業精神”. Executive Foresight Online. 日立製作所. 2026年9月23日閲覧。
  11. ↑ “【インタビュー】吉田克幸|刺し子復活させるのは宿命だった。それをメンズ館ですべて見せます”. ISETAN MEN'S net. 三越伊勢丹. 2026年9月23日閲覧。
  12. ↑ “モノづくりも買い物も「自分が欲しい」という気持ちが大切だ”. Forbes JAPAN. 2026年9月23日閲覧。
  13. ↑ “#003 吉田晃務さん(吉田カバン デザイナー)とのおはなし(後編)”. OPENERS. 2026年9月23日閲覧。
  14. ↑ “MADE IN JAPANの追求 【前編】日本のカバン職人を絶やさない”. Executive Foresight Online. 日立製作所. 2026年9月23日閲覧。
  15. ↑ “『HERO』のダウンジャケットに『ラブジェネ』のバッグも…木村拓哉の名作ドラマ「見た!マネした!」憧れアイテム”. ふたまん+. 双葉社. 2026年9月23日閲覧。
  16. ↑ “モノづくりも買い物も「自分が欲しい」という気持ちが大切だ”. Forbes JAPAN. 2026年9月23日閲覧。
  17. ↑ “年間生産180万本 それでも「吉田カバン」が職人の手作業にこだわる理由”. ITmedia ビジネスオンライン (2016年4月1日). 2026年9月23日閲覧。
  18. ↑ “東レグループの中長期戦略”. 東レ. 2026年9月23日閲覧。
  19. 1 2 3 4 HISTORY 会社サイト、2019年5月8日閲覧。
  20. ↑ ポーター:PORTER ファッションプレス、2019年5月8日閲覧。
  21. ↑ ポーター/PORTER 服DB、2019年5月8日閲覧。
  22. ↑ ラゲッジレーベル:LUGGAGE LABEL ファッションプレス、2019年5月8日閲覧。
  23. ↑ ヨシダ/YOSHIDA 服DB、2019年5月8日閲覧。
  24. ↑
  25. 1 2 3 SHOP INFO 会社サイト、2019年5月8日閲覧。
  26. 1 2 “エキュート品川 サウスに「PORTER STAND」-吉田カバンの新業態” (2014年4月30日). 2019年5月8日閲覧。
  27. ↑ “オープン日にさっそく行ってきた! 2号店目となる吉田カバン編集の「PORTER STAND」in JR東京駅!”. MonoMax (2017年3月15日). 2019年5月8日閲覧。
  28. ↑ “吉田カバンが新コンセプトショップ「POTR」をオープン”. WWD JAPAN (2018年11月15日). 2019年5月8日閲覧。
  29. ↑ 値下げも大量生産もしない!国産にこだわる下町の大人気カバンメーカー - テレビ東京 2012年7月12日
  30. ↑ KICHIZO|メイド・イン・ジャパンにこだわる新レーベル「KICHIZO」誕生 - OPENERZ(2015年4月15日)、2024年4月21日閲覧
  31. ↑ 会社概要
  32. ↑ “製造した「ポーター」のかばん一部抜き取り売却、3000万円得たか…受託会社の元役員を容疑で書類送検”. 読売新聞 (2026年9月10日). 2026年9月10日閲覧。

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