IP fragmentationとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > IP fragmentationの意味・解説 

IPフラグメンテーション

(IP fragmentation から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/03 18:15 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

IPフラグメンテーション[1]: IP fragmentation)とは、Internet Protocol (IP) におけるデータグラム断片化であり、MTUが通常のデータグラムのサイズより小さいリンク上でもパケットが転送できるようにする。日本語ではIP分割と呼ぶ資料もある[2]

概要

RFC 791 でIPフラグメンテーションの手続きすなわちデータグラムの転送および再構築について記述している[3]RFC 815 では単純化した再構築アルゴリズムが記述されている[4]

IPプロトコルヘッダの「識別子」フィールド、「フラグ」フィールドの「禁止」フラグと「継続」フラグを使用してIPデータグラムのフラグメンテーションと再構築を行う。

IPv4ルーターが次のホップのMTUより大きいPDUを受信した場合、2つの対処法がある。1つは、そのPDUを廃棄し、Packet too Big(パケットが大きすぎる)という条件を設定したICMPメッセージを送信元に返す方法である。もう1つは、IPパケットをフラグメンテーションしてMTUの小さいリンク上に送り出す方法である。IPv6では経路の途中のルータがフラグメンテーションを行うことはできず、パケットを送信する前にパケットの最大サイズをMTUが決定し、それ以下のパケットを送信しなければならない(送出元がフラグメンテーションして送り出すことはできる)。また、IPv6では1280バイト以下のパケットはフラグメンテーションせずに送達可能であることを保証することになっている。

あるホストがフラグメンテーションされたIPパケットを受信した場合、上位層プロトコルに渡す前にデータグラムの再構築を行う必要がある。再構築は一般に受信ホストで行うことになっているが、途中のルーターが再構築することもある。例えばネットワークアドレス変換では、RFC 2993 に記されているようにFTPなどでデータストリームの変換のために再構築する必要にせまられることがある[5]

フラグメンテーションされたパケットが消失し、上位プロトコルがTCPなどの高信頼プロトコルだった場合、フラグメントの一部が消失しただけなのにデータグラム全体の再送を要求することになるので、再送のオーバーヘッドが大きくなる[6]。そのため、一般にIPデータグラムのサイズを決定するのに2つの方法を使い、フラグメンテーションをなるべく防ごうとする。1つは、送信側で最初のホップのMTUをIPデータグラムのサイズとして使用する方式である。もう1つは、経路MTU探索アルゴリズムを使う方法であり、こちらは RFC 1191 で記述されている[7]

IPv4 と IPv6 の差異

IPv4とIPv6では、フラグメンテーション機構の詳細やフラグメンテーションを含む全体的アーキテクチャが異なる。IPv4ではルーターがフラグメンテーションを行うが、IPv6ではルーターはMTUより大きなパケットは破棄するため前述のように最大サイズをあらかじめ決め、それより小さいパケットを送らなければならない(送出元のみがフラグメンテーションを行える)。なおIPv4とIPv6ではヘッダの形式が異なるが、フラグメンテーションに関するフィールドは良く似ており、フラグメンテーションと再構築のアルゴリズムは流用可能である。

IPv4では、再構築後のIPデータグラムの大きさが576バイト(IPv4の最小MTU)までならベストエフォートで再構築を行う。再構築後のIPデータグラムの大きさが576バイトより大きい場合も再構築するが、そのような大きなデータグラムは何も通知せずに廃棄してもよいことになっている。IPv6ではそのしきい値が1500バイトに増やされている[8]

脚注

  1. ^ JPRS-IPfragmentation.
  2. ^ 福田 2001.
  3. ^ RFC 791, Internet Protocol, Information Sciences Institute (September 1981)
  4. ^ RFC 815, IP Datagram Reassembly Algorithms, David D. Clark (July 1982)
  5. ^ RFC 2993, Architectural Implications of NAT (November 2000)
  6. ^ Christopher A. Kent, Jeffrey C. Mogul. “Fragmentation Considered Harmful”. 2012年8月29日閲覧。
  7. ^ RFC 1191, Path MTU Discovery (November 1990)
  8. ^ RFC 2460, Internet Protocol, Version 6 (IPv6) Specification, S. Deering, R. Hinden (December 1998)

参考文献

関連項目

外部リンク


「IP fragmentation」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「IP fragmentation」の関連用語

IP fragmentationのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



IP fragmentationのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのIPフラグメンテーション (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS