GEOS (オペレーティングシステム)とは? わかりやすく解説

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GEOS (オペレーティングシステム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/06 16:48 UTC 版)

Breadbox Ensemble (PC/GEOS)
開発者 Breadbox Computer Company LLC
OSの系統 GEOS
開発状況 開発中
ソースモデル クローズドソース
最新安定版 4.1.3 / 2009年8月25日
リポジトリ
既定のUI Industry Standard (初期バージョンは Motif を使用)
ライセンス Breadbox 独自ライセンス
ウェブサイト blog.bluewaysw.de
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GEOS (Graphic Environment Operating System) は、Berkeley Softworks(後の GeoWorks Corporation)が開発した一連のオペレーティングシステム (OS) の名称。1986年コモドール64向けにグラフィカルユーザインタフェース (GUI) を提供するOSとして登場した。その後1990年IBM PCおよび互換機向けの PC/GEOSGeoWorksとも)がリリースされた。最新版は2009年にBreadbox Computer Company LLCからBreadbox EnsembleとしてリリースされたPC/GEOS 4.1.3である。

8ビット版 GEOS

最初の GEOS は、1986年コモドール64向けに設計された。初期の Mac OS に酷似しており、ワープロソフト (geoWrite)、ペイントプログラム (geoPaint) などを含んでいた。コモドールは、これをコモドール64の廉価版 (C64C) に同梱して販売した。出荷本数だけで言えば、ピーク時には世界第三位のシェアを誇った(他は、MS-DOSMac OS)。

GEOS互換の各種ソフトウェアがBerkeleyやサードパーティーから発売された。DTPアプリケーション (geoPublish)、表計算ソフト (geoCalc) などである。geoPublishはAdobe PageMakerほどの機能はなく、geoCalcはMicrosoft Excelほどの機能はなかったが、8ビットパーソナルコンピュータ (PC) 向けとしてはそれなりの機能を有しており、Berkeleyの創設者Brian Doughertyは数年間、社内のビジネスにはコモドールの8ビットPC上で同社のソフトウェアを動作させて使っていると公言していた。

後に GEOSの拡張版が、コモドール128Apple II向けにリリースされた。他にもコモドールPlus/4向けのバージョンもあったが、あまり知られていない。

Apple II版GEOSは、2003年8月にフリーウェアオープンソースではない)としてリリースされ、2004年にはコモドール64/128版もそれに続いた。

GeoWorks Ensemble - PC/GEOS 1.0–2.x

1990年、GeoWorksはPC/AT互換機向けGEOSであるPC/GEOSをリリースした。GeoWorks Ensembleという名前でも販売された。8ビット版とは互換性がないが、様々な機能拡張がなされていた。例えば、PC XTや ATレベルの互換機でも、スケーラブルフォントやマルチタスクを実現していた。アセンブリ言語で書かれていたため、Microsoft Windows 3.0よりも高速に動作した。当時、欧米では(GEMなどと同様)PC/GEOSをPCにバンドルする販売戦略もあったが、Windowsに比較すると成功したとは言い難い。なお、PC/GEOSは当時のWindowsと同様、DOSがないと起動できない。

1992年12月、NECソニーはGeoWorksのOEM版 (CD Manager) をCD-ROMドライブ製品に同梱した。

GeoWorksの一部はAOLのDOS版接続用ソフトウェアにも使われた。これはWindows全盛となってDOS版の自社開発をAOLが止めたためである。当時のAOLが配布していたフロッピーディスクは、細工すると GeoWorks そのものを起動させることができた。

GeoWorksはサードパーティーにアプリケーションを開発してもらおうとしたが、マニュアルと使いにくい開発環境が1000ドルと高価で、デバッガを動作させるには2台目のPCをシリアルで接続する必要があったため、多くの支持は得られなかった。

バージョン履歴

  • 1990年: OS/90(ベータ版)、GeoWorks 1.0
  • 1991年: GeoWorks 1.2
  • 1992年: GeoWorks 1.2 Pro (ボーランドQuattroProを同梱)、GeoWorks DTP、GeoWorks CD Manager
  • 1993年: GeoWorks Ensemble 2.0 (新カーネルPC/GEOS 2.0)、Geopublish 2.0
  • 1994年: Geoworks Ensemble 2.01

Ensemble 2.01のリリースを最後に、GeoWorksはデスクトップ版のサポートを止め、携帯端末向けに注力するようになった。

NewDeal Office - PC/GEOS 3.x

PC/GEOSの後継バージョンは、NewDeal Inc.からNewDeal Officeとして発売された。

バージョン履歴

  • 1996年: NewDeal Office 2.2/2.5、NewDeal Publish 2.5 (シェアウェア版)
  • 1997年: NewDeal Office 97
  • 1998年: NewDeal Office 98
  • 1999年: NewDeal Office Release 3、NewDeal Office 3.2
  • 2000年: NewDeal Office 3.2d(ドイツ語版パッチ)、NewDeal Office 2000(新カーネルPC/GEOS 3.0)、NewDeal Office 2000 for GlobalPC

Breadbox Ensemble - PC/GEOS V4.x

NewDeal Inc.が事業をやめた後(2003年)、Breadbox Computer Company LLC.がPC/GEOS関連の全ての知的財産権をGeoWorksから買い取った(正確には独占利用契約)[1]。最新のPC/GEOS 4.xは、Breadbox Computer Company LLC.がBreadbox Ensembleとしてリリースしている。各種オフィスソフト(ワープロソフト、表計算ソフト、データベースなど)やウェブブラウザ、電子メールクライアントなどを備えている。

バージョン履歴

  • 2001年: BreadBox Ensemble Beta Version 4.0.1.x
  • 2002年: Breadbox Ensemble *Full* Version 4.0.2.0
  • 2005年3月: Breadbox Ensemble Version 4.1.0.0
  • 2005年11月: Breadbox Emsemble Version 4.1.2.0
  • 2009年8月: Breadbox Emsemble Version 4.1.3

PEN/GEOS

PEN/GEOSは、ローエンドのノートパソコン向けのGEOSである。ブラザー工業のノートパソコンや、ノキアのハンドヘルドPCで使われた。また、HP OmniGo 100 や 同120 でも使われている。

バージョン履歴

  • 1992年: PEN/GEOS 2.0
  • 1995年: PEN/GEOS 3.0

GEOS-SC

GEOS-SCは、GeoWorksが 1997年にRISCマイクロプロセッサを使った携帯電話上で動作するITRON OS用に開発したものである[2]。 日本向けに開発され、東芝から発売されたPHS内蔵のPDAであるGENIO PCV100で採用された。

脚注

参考文献

  • Farr, Michael (1987). The Official GEOS Programmer's Reference Guide. For Commodore 64/64C/128. Includes versions 1.0, 1.1, and 1.2. Bantam Books/Berkeley Softworks. ISBN 0-553-34404-8.
  • Tornsdorf, Manfred; Kerkoh, Rüdiger (1986). GEOS Inside and Out. An introduction to GEOS, its applications and internals. Abacus/Data Becker. ISBN 0-916439-81-X.

外部リンク




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