DNA複製における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/04 17:57 UTC 版)
「サイクリン依存性キナーゼ2」の記事における「DNA複製における役割」の解説
細胞分裂過程が成功するかどうかは、細胞と組織の双方のレベルでの正確な調節に依存している。細胞内のタンパク質とDNAの複雑な相互作用によって、ゲノムDNAは娘細胞へ伝達される。そして細胞と細胞外マトリックスタンパク質との相互作用によって、新たな細胞は既存の組織中へ組み込まれる。細胞レベルでは、細胞分裂過程はCDKとサイクリンによって制御されている。DNA損傷などの欠陥が修復されるまで細胞周期の進行を遅らせる手段として、細胞はさまざまな細胞周期チェックポイントを利用する。 CDK2は細胞周期のG1期とS期を通じて活性があり、G1/S期のチェックポイントの制御を行う。G1期に先立って、CDK4とCDK6のレベルがサイクリンDとともに上昇する。これによってG1期の初期にはRbタンパク質の部分的なリン酸化が行われ、転写因子のE2F(英語版)の抑制が部分的に解除される。その結果サイクリンEの合成が促進されてCDK2の活性が上昇する。G1期の終わりにはサイクリンE-CDK2複合体の活性は最大レベルに達し、S期の開始に大きな役割を果たす。G1/S期の移行時にはRbタンパク質とp27タンパク質がサイクリンA/E-CDK2複合体によってリン酸化され、完全に不活性化される。それに伴い、E2FによってS期への進入を促進する遺伝子の発現が行われる。さらに、サイクリンE-CDK2複合体の基質であるNPAT(英語版)がリン酸化され、ヒストン遺伝子の転写を活性化する。これによってクロマチンの主要なタンパク質構成要素であるヒストンの合成が増大し、S期に行われるDNA複製をサポートする。S期の終わりに、サイクリンEはユビキチン-プロテアソームシステムによって分解される。
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