凸集合
凸集合
(Convex set から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/18 07:12 UTC 版)
ユークリッド空間における物体が凸(とつ、英: convex)であるとは、その物体に含まれる任意の二点に対し、それら二点を結ぶ線分上の任意の点がまたその物体に含まれることを言う。例えば中身のつまった立方体は凸であるが、例えば三日月形のように窪みや凹みのあるものは何れも凸でない。凸曲線は凸集合の境界を成す。
凸集合の概念は後で述べるとおり他の空間へも一般化することができる。
ベクトル空間内の凸集合

S は実数体(あるいはより一般に適当な順序体)上のベクトル空間とする。ユークリッド空間はその例である。S 内の集合 C が凸であるとは、任意の x, y ∈ C および任意の t ∈ [0, 1] に対し、点 (1 − t)x + ty もまた C に属することをいう。即ち、x と y とを結ぶ線分上の各点が C に属する[1]。これにより、実または複素位相線型空間における凸集合は弧状連結、したがって連結であることが従う。 さらに、C が狭義凸 (strictly convex) であるとは、x と y とを結ぶ線分上の各点が端点を除き C の内部に含まれるときにいう。
実数全体の成す集合 R の凸部分集合とは、単に R の区間のことである。ユークリッド平面の凸部分集合の例には、中身のつまった正多角形、中身のつまった三角形、中身のつまった三角形の交わり、などが挙げられる。三次元ユークリッド空間の凸部分集合の例にはアルキメデスの立体、プラトンの立体などが挙げられる。ケプラー・ポアンソ多面体は非凸集合の例である。
凹集合
凸でない集合は非凸集合 (non-convex set) と言う。凸多角形でない多角形は凹多角形とも呼ばれ[2]:130、文献によってはより一般に非凸集合をあらわすのに凹集合 (concave set) という語を使用することもある[3]が、普通はそのような言い方は避けられる[注釈 1][注釈 2]。
性質
S が n-次元空間内の凸集合ならば、任意 r-個 (r > 1) の n-次元ベクトル u1, …, ur ∈ S と任意の非負数 λ1, …, λr で λ1 + ⋯ + λr = 1 を満たすものに対し
実線型空間において、二つの空でない集合 S1, S2 のミンコフスキー和 S1 + S2 は、加えられる各集合の元ごとの和の集合