C級駆逐艦 (2代)とは? わかりやすく解説

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C級駆逐艦 (2代)

(C and D class destroyer から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/19 02:49 UTC 版)

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C級駆逐艦
基本情報
種別 駆逐艦
命名基準 "C"で始まる英単語(嚮導艦を除く)
運用者  イギリス海軍
 カナダ海軍
就役期間 1932年 - 1938年
1937年 - 1945年
前級 B級
次級 D級
要目
基準排水量 1,375トン
全長 99.36 m
最大幅 10.05 m
吃水 2.59 m
ボイラー 水管ボイラー×3缶
主機 蒸気タービン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 36,000馬力
速力 36.0ノット
航続距離 4,780海里 (15kt巡航時)
燃料 重油473トン
乗員 138名 / 175名 (嚮導艦)
兵装45口径12cm単装砲×4基
39口径40mm単装機銃×2基
・53.3cm4連装魚雷発射管×2基
爆雷×6発
レーダー ※後日装備
・286型 or 291型 早期警戒用
271型 目標捕捉用
ソナー ※後日装備
・124型 探信儀 (ASDIC)
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C級駆逐艦英語: C class destroyer)は、イギリス海軍駆逐艦の艦級。B級をもとに大型化して航続距離の延伸を図った発展型として、1929-30年度計画で5隻が建造された[1][2]。「クルセーダー」をネームシップとして、クルセーダー級Crusader-class)と称することもある[3]

来歴

イギリス海軍は1924-5年度より駆逐艦の建造を再開し、まず改W級駆逐艦をもとに第一次世界大戦の戦訓や新しい技術を盛り込んだプロトタイプとして「アマゾン」と「アンバスケイド」を建造したのち、1927-8年度で量産型としてA級、続く1928-9年度で小改正型のB級が建造された[4]

1929-30年度計画での建造艦は、B級をもとにわずかに大型化し、燃料の搭載量増加を図ることとなった。これが本級である[2]

設計

上記の経緯より、設計はB級をもとにわずかに大型化したものとなっている。船首楼型、2本煙突という基本構成や、艦内の諸区画配置はおおむね踏襲されたが、本級より、前後部の燃料タンクを隣接させて、油の積込みと移送を合理化した[5]。また艦橋構造物の設計も洗練され、羅針艦橋の後部に方位盤射撃塔と測距儀塔を装備した[1]

機関構成もA・B級と同様であるが、艦の大型化に対応して、機関出力は、従来の34,000馬力から36,000馬力に増強された。ボイラーは、海軍本部の設計によるアドミラルティ式3胴型水管ボイラーを搭載した。蒸気性状は圧力300 psi (21 kgf/cm²)、温度315.5℃であった。タービンはパーソンズ式オール・ギヤード・タービンであり、独立した巡航タービンは持たず、高圧タービンの中に設ける方式とされた[6]

装備

艦砲はA・B級と同様、45口径12cm砲(QF 4.7インチ砲Mk.IX)4門を搭載した。当初計画では、B級の「ブルドック」と同様に2番砲に60度の仰角が取れるCP Mk.XIII砲架を採用し、高角砲を兼用できるようにする予定であったが、同艦での試験成績が不良だったため実現せず、標準的な平射砲(仰角30度~俯角10度)としてのMk.XIV砲架と組み合わせての搭載となった[1][7]。また大日本帝国海軍吹雪型駆逐艦50口径12.7cm砲を搭載したのに対抗して、嚮導艦「ケンペンフェルト」で50口径13cm砲(QF 5.1インチ砲Mk.I)の搭載試験が行われたが、重量過大であり、まもなく他の艦と同様の4.7インチ砲に換装された[2][3]

近距離用の対空兵器としては、新開発の62口径12.7mm4連装機銃の搭載が計画されたものの、開発遅延のために実現せず、在庫品の39口径40mm単装機銃(QF 2ポンド・ポンポン砲Mk.II)が搭載された[1]。1935年から1936年にかけて、「クルーセイダー」で39口径40mm機銃の4連装砲架が試験搭載され、成功を収めた[2]

水雷兵器としては、A・B級と同じく21インチ魚雷発射管を4連装2基搭載した[1]。ただし魚雷としては、A・B級がMk.Vを搭載していたのに対し、本級ではMk.IVが搭載され、後にMk.IXに更新した[2]。一方、B級では対潜兵器が重視されて対機雷戦兵器が省かれたのに対し、本級ではA級と同様に2速駆逐艦掃海具(TSDS)を搭載しており、このため爆雷の搭載量は減少している[3]

また第二次世界大戦が勃発すると、生き残っていた艦は護衛駆逐艦として改装され、70口径20mm機銃6門を搭載して防空火力を強化、また45口径12cm砲のうち1門を撤去するかわりにヘッジホッグ対潜迫撃砲を搭載、爆雷搭載数を125発に増加させている[2]

同型艦

当初計画では、A・B級と同様に嚮導艦および8隻の建造が予定されていたが、財政緊縮の影響で嚮導艦および4隻に削減された。その後、1937年から38年にかけて、全艦がカナダに譲渡された[1]

第二次世界大戦においては5隻全てがカナダ海軍の指揮下で、主に北大西洋での船団護衛を任務として活動した。大戦中に2隻が戦没した。生き残った3隻も戦後間もなく解体された。

 イギリス海軍  カナダ海軍
# 艦名 造船所 進水 就役 艦名 就役 その後
I18 ケンペンフェルト
HMS Kempenfelt
嚮導艦
J・サミュエル・
ホワイト英語版
1931年
10月29日
1932年
5月30日
アシニボイン
HMCS Assiniboine
1939年
10月15日
1945年8月8日に退役[8]。解体のためにボルチモアへ曳航中の1945年11月10日、
プリンスエドワード島東端部のイーストポイント英語版付近にて座礁。
離岸に失敗したため船体は放棄されるが、1952年に現地にて解体。
H48 クレセント
HMS Crescent
ヴィッカース・
アームストロング
1931年
9月29日
1932年
4月21日
フレーザー
HMCS Fraser
1937年
2月21日
1940年6月25日、フランスのジロンド川河口付近にて、
イギリス海軍の軽巡洋艦「カルカッタ」との衝突事故により沈没[8]
H60 クルーセーダー
HMS Crusader
ポーツマス
海軍工廠
1931年
9月30日
1932年
5月2日
オタワ
HMCS Ottawa
1938年
6月15日
1942年9月14日、カナダ東岸沖の北大西洋にて
ドイツ海軍の潜水艦「U-91」の魚雷攻撃により撃沈[8]
H00 コメット
HMS Comet
1931年
9月30日
1932年
6月2日
レスティゴーシュ
HMCS Restigouche
1938年
6月15日
1945年10月6日に退役[8]。同年11月9日にスクラップとして売却。
H83 シグニット
HMS Cygnet
ヴィッカース・
アームストロング
1931年
9月29日
1932年
4月1日
サン・ローラン
HMCS St. Laurent
1937年
2月17日
1945年10月10日に退役[8]。11月9日にスクラップとして売却。

参考文献

  1. ^ a b c d e f 中川務「イギリス駆逐艦史」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 64頁、 ISBN 978-4905551478
  2. ^ a b c d e f Roger Chesneau, Robert Gardiner (1980). Conway's All the World's Fighting Ships 1922-1946. Naval Institute Press. p. 38. ISBN 978-0870219139. 
  3. ^ a b c Friedman, Norman (2009). “A New Standard Design - The A-I Series”. British Destroyers From Earliest Days to the Second World War. Annapolis, Maryland: Naval Institute Press. ISBN 978-1-59114-081-8. 
  4. ^ 中川務「イギリス駆逐艦建造の歩み」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 149-155頁、 ISBN 978-4905551478
  5. ^ 岡田幸和「船体 (技術面から見たイギリス駆逐艦の発達)」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 158-163頁、 ISBN 978-4905551478
  6. ^ 阿部安雄「機関 (技術面から見たイギリス駆逐艦の発達)」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 164-171頁、 ISBN 978-4905551478
  7. ^ 高須廣一「兵装 (技術面から見たイギリス駆逐艦の発達)」、『世界の艦船』第477号、海人社、1994年2月、 172-179頁、 ISBN 978-4905551478
  8. ^ a b c d e Sandy McClearn (1997-2006). “RIVER Class destroyer” (英語). 2017年4月1日閲覧。



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