Aluファミリー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/19 15:45 UTC 版)
Aluファミリーはヒトを含む霊長類のゲノム上に見られる反復配列要素である。現代のAlu要素は長さ300塩基対ほどで、反復配列要素の中でも短鎖散在核要素 (SINE) に分類される。典型的には 5′- Part A - A5TACA6 - Part B - PolyA Tail - 3′ の構造をとる。ここで、Part AとPart B("left arm"〈左腕〉および "right arm"〈右腕〉とも)は類似したヌクレオチド配列である。現代のAlu要素は類似するものの異なるfossil antique monomer (FAM) のhead to tail融合により発生したと考えられており、そのため似た別々のモノマー("left arm" と "right arm")がAリッチなリンカーにより結合された二量体構造をとる。どちらのモノマーもシグナル認識粒子RNA(英語版)、別名7SL RNAから進化したと考えられている。ポリA尾部の長さは、Aluファミリーによって異なる。 ヒトゲノム全体には100万を超えるAlu要素が散在しており、ヒトゲノムの約10.7%がAlu配列からなると推定されている。しかし、遺伝的多形をもつものは0.5%以下である。1988年、イェジ・ユルカ(英語版)とテンプル・スミス(英語版)によりAlu要素がAluJ(Jurkaにちなむ)とAluS(Smithにちなむ)と呼ばれる2つの主要なサブファミリーに分けられることが発見され、いくつかのグループによって独立に別の複数のサブファミリーも発見された。その後、活動中のAlu要素を含むAluSのサブサブファミリーはAluYと名付けられた。AluJ系統は6500万年前まで遡り、ヒトゲノムの中で最も古くかつ最も活動性が低い。比較的新しいAluS系統はおよそ3000万年前のもので、まだいくつか活動中の要素を含む。AluY要素はこれら3つの中で最も新しく、ヒトゲノム中を移動する傾向が最も高い。Aluサブファミリーの発見されたことでマスター/ソース遺伝子仮説につながり、転移可能要素(活動的要素)と散在反復配列(活動的要素の変異コピー)との間の明確なつながりが提供された。
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