5枚の絵の差異
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 17:39 UTC 版)
「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」の記事における「5枚の絵の差異」の解説
マルメゾン城に保管されている原画 (260 x 221 cm; 102⅓ x 87 in) のナポレオンは、オレンジ色のコート、カフスに刺繍された長手袋、白黒斑模様の馬、馬具の一式には固定式マーチンゲールという姿である。馬の腹に巻かれた腹帯は、落ち着いた紅色である。背景のサーベルを下げた将校は、馬の尾になかば隠れている。ナポレオンの顔は若々しい。胸懸のくびきに「L.DAVID YEAR IX」と署名されている。 シャルロッテンブルク宮殿に保管されている絵(260 x 226 cm; 102⅓ x 89 in)のナポレオンは、赤いコートで栗毛の馬にまたがっている。留め金が簡素になってマーチンゲールがなくなり、腹帯は灰青色である。地面には雪の跡がある。ナポレオンの顔立ちはやせており、ほのかに微笑んでいるようにも見える。署名は「L.DAVID YEAR IX」である。 ヴェルサイユ宮殿所蔵の1枚目 (272 x 232 cm; 107 x 91⅓ in) では、馬は灰の斑模様で、留め金はシャルロッテンブルグの絵と同じ、腹帯は青である。長手袋の刺繍はシンプルになり、手袋の下に袖の縁飾りが見えている。風景はより暗くなり、ナポレオンの表情もより険しくなっている。絵には署名がない。 ベルヴェデーレ宮殿に保管されている絵 (264 x 232 cm; 104 x 91⅓ in) は、ヴェルサイユのものとほぼ同じであるが、「J.L.DAVID L.ANNO X」という署名がある。 ヴェルサイユ宮殿所蔵の2枚目 (267 x 230 cm; 105 x 90½ in) では、馬は白と黒、留め金は完全だがマーチンゲールは描かれていない。腹帯は赤である。コートはオレンジがかった赤だが襟は黒い。長手袋の刺繍は非常にシンプルでほとんど目立たない。ナポレオンの腰に結び付けられたスカーフは、明るい青である。この絵でも、馬の尾の陰にサーブルを持った将校が登場する。ナポレオンの顔立ちはやや年上に見え、短髪、ベルヴェデーレ宮殿の絵と同じく、かすかに微笑んでいるように見える。刺繍や二角帽の様式から、この絵は1804年以降に完成したと推測される。絵には「L.DAVID」と署名されており、日付はない。
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