3度の廃貨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/02 07:15 UTC 版)
1948年の独立以降、2016年現在までにミャンマーでは過去3回にわたって流通する紙幣を廃止する廃貨が行われた。 ビルマ式社会主義の推進による産業・流通の国有化に伴って出現した闇商人の撲滅を名目として、1964年5月に最初の廃貨が実施され、予告無しに高額紙幣が廃止された。1985年11月に闇商人対策を掲げた廃貨が再び実施される。2回目の廃貨の際に25、35、75チャット紙幣が発行されたが、間も無く3回目の廃貨が行われ、代わって45、90チャット紙幣が発行された。1987年9月には、事前に「高額紙幣廃止の噂はデマである」という新聞広告が掲載された上で廃貨が行われ、庶民にとって使用頻度の高い25チャット紙幣も廃止されたため、不満が噴出する。ビルマ市民の間では、2回目の廃貨から3回目の廃貨にかけて導入された非合理的な紙幣の額面は、ネ・ウィンが信任する占星術師が出した吉数に基づいていると噂された。3回目の廃貨での不満の高まりは1988年8月8日のゼネスト・デモ(8888民主化運動)、翌年9月のクーデターを引き起こした。 過去の廃貨では、以下の紙幣が廃止された。 1964年5月 - 1,000チャット 1985年11月 - 20チャット、50チャット、100チャット 1987年9月 - 25チャット、35チャット、75チャット これらの廃貨においては廃止された紙幣の持ち主に対して十分な補償はされず、他の紙幣の交換は実施しない、あるいはごく限られた期間に一定額までの紙幣の交換を行う対応がされた。このため、現金を自宅に保管する習慣(タンス預金)が一般的だったビルマでは多くの国民が損害を受けた。不定期に行われる廃貨、紙幣の増刷によって起きるインフレーションへの対策として、多くのミャンマー国民は金製品や米ドルを資産として保有している。 35チャット紙幣 75チャット紙幣 45チャット紙幣
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