第54回有馬記念 (だい54かいありまきねん)は、2009年 12月27日 に中山競馬場 で施行された競馬 競走 である。ドリームジャーニー が優勝した
レース概要
2009年 の中央競馬 の総決算である。外国馬が6頭まで出走可能となっていたが国際競走 となった2007年 以降3年連続で登録馬はなかった。なお、パープルムーン(英国 )とマーシュサイド (米国 )が予備登録を行っていたが、12月1日 に辞退が発表された。
ファン投票の結果
最終登録を行った馬のうち、最終順位100位までに入った馬の順位
レース施行前の状況
各競走の結果
第139回天皇賞(春)
第50回宝塚記念
第140回天皇賞(秋)
第29回ジャパンカップ
第69回皐月賞
着順
競走馬
1着
アンライバルド
2着
トライアンフマーチ
第76回東京優駿
第70回菊花賞
着順
競走馬
1着
スリーロールス
2着
フォゲッタブル
第57回神戸新聞杯
第47回アルゼンチン共和国杯
第43回ステイヤーズステークス
登録及び各馬の状況
この年は例年に増してファン投票上位馬、また秋のGIで好走した馬の回避が目立った。さらに、史上初めて4歳馬の出走がなかった年になった。
まず、ファン投票1位のウオッカ はジャパンカップ (優勝)レース中に鼻出血を発症し、規定により出走ができなくなっていた。このほか、3位の東京優駿 馬・ロジユニヴァース は体調が整わないため、7位のオウケンブルースリ 、9位の秋華賞 馬・レッドディザイア は休養に入るため出走回避した。また、6位のスクリーンヒーロー はジャパンカップのレース後に屈腱炎 を発症し引退が表明された。
ファン投票上位馬以外では、エリザベス女王杯 の勝ち馬・クィーンスプマンテ が香港カップ に出走したために回避、また、天皇賞(秋) を制したカンパニー もマイルチャンピオンシップ (優勝)を最後に引退を既に発表していたため、登録も行わなかった。
施行前の状況
一番の注目を集めたのは3歳牝馬のブエナビスタであった。この年桜花賞 と優駿牝馬 の2冠を制していたが、秋は降着や展開に恵まれないなどして惜敗が続いていた。陣営はこのレースに向け、主戦の安藤勝己 から横山典弘 に乗り換え、新しい一面を引き出そうとしていた。
3歳馬はほかにも皐月賞 馬のアンライバルド、菊花賞 馬のスリーロールス、ダービー2着で悲願のGI獲りを目指すリーチザクラウン、充実を見せているイコピコやフォゲッタブルが有力視された。
これを迎え撃つ古馬勢の中心は前年4着のドリームジャーニー であった。この年は春のグランプリ宝塚記念 を制していた。天皇賞(秋)は6着に敗れたものの、ジャパンカップをパスしてこのレースに向け調整をしていた。第52回有馬記念 の覇者であるマツリダゴッホはやや精彩を欠いていたものの、この年もオールカマー を制するなど依然中山では安定した成績を残していた。なお、このレースが同馬にとってのラストランとなる。他には天皇賞(春) の勝ち馬マイネルキッツが注目を集めた。
出走馬と枠順
2009年 12月27日 第5回中山競馬 第8日目 第10競走
天気 :晴、馬場状態 :良、発走時刻:15時25分
負担重量は4歳以上馬57kg、3歳馬55kg、牝馬は2kg減
レース結果
レース展開
ゲートが開くと、ドリームジャーニーがタイミングが合わず出遅れる。対して好スタートを切ったリーチザクラウンが同型を制しハナを切った。テイエムプリキュアとミヤビランベリが2番手を追走し、やや離れてシャドウゲイトが続いた。後方から進めると思われたブエナビスタは先団をみる形で6番手に位置、その前後にアンライバルドやスリーロールスが続いた。マツリダゴッホは中団、フォゲッタブルは中団馬群の後方につけ、ドリームジャーニーは例によって後方待機、エアシェイディが最後方に控えた。
1000m通過タイムは58秒6と速いペースとなり、3コーナーを過ぎたあたりでシャドウゲイトやマツリダゴッホが上がっていくと、先行していたリーチザクラウンやテイエムプリキュアが後退。ブエナビスタは好位置をキープしたまま直線を向き先頭に躍りでるが、後方で脚をためたドリームジャーニーが一気に前に並びかけ、ブエナビスタを競り落として先頭でゴールイン。ブエナビスタが粘って2着に入り、4馬身開いた3着にはこれも後方にいたエアシェイディが前年に続いての入着となった。結果として、これまでにないハイペースが影響して先行勢はほぼ総崩れの状態であり、5着以内に入ったのはブエナビスタを除いて全て後方で足をためていた馬であった。
一方、一昨年の覇者マツリダゴッホは見せ場は作ったものの7着、3歳牡馬勢ではフォゲッタブルの4着が最高だった。
なお、3コーナー手前でスリーロールスが馬体に故障を発生し競走を中止した。
レース着順
着順
馬番
競走馬名
タイム
着差
上がりタイム
1
9
ドリームジャーニー
2:30.0
35.2
2
2
ブエナビスタ
2:30.1
1/2
35.8
3
6
エアシェイディ
2:30.8
4
35.7
4
16
フォゲッタブル
2:30.8
アタマ
36.1
5
4
マイネルキッツ
2:31.2
2.1/2
36.7
6
14
セイウンワンダー
2:31.6
2.1/2
36.9
7
7
マツリダゴッホ
2:31.9
1.1/4
37.6
8
11
イコピコ
2:32.6
4
38.2
9
13
シャドウゲイト
2:32.7
3/4
38.6
10
5
コスモバルク
2:32.8
クビ
38.1
11
3
ミヤビランベリ
2:32.8
アタマ
38.7
12
15
ネヴァブション
2:33.9
7
39.3
13
8
リーチザクラウン
2:34.6
4
40.6
14
12
テイエムプリキュア
2:35.7
7
41.0
15
1
アンライバルド
2:36.8
7
42.4
中止
10
スリーロールス
データ
ハロンタイム
6.8 - 11.0 - 11.2 - 11.3 - 11.9 - 12.3 - 12.6 - 12.3 - 12.5 - 12.1 - 12.0 - 11.7 - 12.3
1000m 通過タイム
58.6秒(リーチザクラウン)
上がり 4ハロン
48.1秒
上がり3ハロン
36.0秒
優勝馬上がり3ハロン
35.2秒
払戻
単勝
9
400円
複勝
9
150円
2
140円
6
380円
枠連
1-5
510円
馬連
2-9
740円
馬単
9-2
1510円
3連複
2-6-9
5460円
3連単
9-2-6
18890円
ワイド
2-9
320円
6-9
830円
2-6
1400円
達成された記録
ドリームジャーニーは馬体重426kgで勝利したが、これは有馬記念史上最軽量馬の優勝である。また、ディープインパクト以来史上9頭目となるグランプリ春秋連覇 達成
勝ちタイム2:30.0は、第49回(優勝馬ゼンノロブロイ )の2:29.5に次ぐ同レース歴代2位[ 1] (2023年現在)。
コスモバルクは6年連続同レース出走となり、単独歴代1位の記録である。
入場者数・レース売り上げ
入場人員 115,327人 (前年比98.5%)
売上金 40,444,102,000円 (前年比94.3%)
何れも出典はJRA公式サイト『データファイル』内「レース成績データ」の「年度別全成績 2009年 中山第5回第8日(PDFファイル) 」による。
レースにまつわるエピソード
有馬記念に関しては競馬マスコミやファンの間でよく“世相馬券”が出るといわれることがある。これは、有馬記念が文字通り中央競馬1年納めのビッグレースであることから、上位入線馬の名前や馬番がその年の世相にちなんだものになることがあるためである。
2009年に関しても様々言われた中、前述の通りドリーム ジャーニー号の春秋グランプリ連覇に終わった。そして実はこの日、西日本でも、関西テレビ放送 など3社が18年余りにわたって制作・放送してきた中央競馬中継『DREAM 競馬 』の放送が終わり、これとともに長く競馬中継に携わってきた杉本清 と大坪元雄 が競馬界でいうところの“70歳定年”により勇退した。[ 2]
不況による売り上げ減などからJRAがこれまでのメディア戦略を転換し、CI導入後初めて同一キャンペーンを3年目に突入させたこと[ 3] 、このレースに初めて4歳馬が1頭も出なかったことなども加え、いろいろな意味で一つの節目となるビッグレースとなった。
また、この有馬記念を以て本馬場入場曲の「グレードエクウスマーチ」がその役目を終えた。
脚注