2種類の序章
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 23:58 UTC 版)
リンチとフロストは、序章の制作にあたって、ABCばかりでなく、ワーナー・ホーム・ビデオとの間にも、契約を結ばねばならなかった。不足分の制作予算を調達するためである。その出資によって、ワーナー・ホーム・ビデオは、序章の国外配給権を獲得するに至る。 結果として、序章の制作においては、2種類の結末が用意される事となった。急遽、序章のみをもって完結する結末が、追加撮影されたのである。本来の結末は、次回以降の長期展開を前提とするものであった。リンチとフロストは、『ツイン・ピークス』のシリーズ化を指向していたのだから、当然である。それに対して、ワーナー・ホーム・ビデオはあくまでも、一個の映画として、序章を配給せんと欲した。まさか、『ツイン・ピークス』が爆発的人気を獲得して世界各国に放送されようとは、夢想だにしなかったのである。 リンチは、不承不承であったものの、ワーナー・ホーム・ビデオの要求に応じて、国外配給用の結末を撮影する。直感および即興に任せ、一息に撮り上げたものであった。その内容は、思いのほか充実したものとなる。想像以上の完成度ゆえに、一連の場面は、シリーズ化にあたって再利用されるに至った。それこそが第2章に登場する、“赤い部屋”にまつわる場面であった。“ボブ”と同様、“赤い部屋”もまた、のちの『ツイン・ピークス』において、必要不可欠の存在となる。 以上の経緯ゆえに、序章については、テレビ放送用のオン・エア版と、国外配給・販売用のインターナショナル版が並存する事となった。その結果、オン・エア版は長きに渡り、ソフト化の機会を逸してしまう。ソフトとして流通するのは、あくまでも、ワーナー・ホーム・ビデオによるインターナショナル版だったのである。オン・エア版のソフト化は、2002年の『ファーストシーズン スペシャル・コレクターズ・エディション』発売をもって、ようやく実現する事となる。
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