1990-2000年代の定義の試み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/07 13:06 UTC 版)
「アートプロジェクト」の記事における「1990-2000年代の定義の試み」の解説
アートプロジェクト初期における定義は、「アート」と「プロジェクト」を分けてその意味を問うている。 1990年代後半にアートプロジェクトの定義を試みた橋本敏子は、「簡単に定義をしにくい要素を持っている」と前置きしたうえで、「社会とアートの多様な関係を作りだろうとしていること」「表現活動のさまざまな場面への参加・交流を作り出そうとしていること」の2つが、アートをプロジェクトにする要素だと論じた。 また川俣正と桂英史は、アートプロジェクトのプロジェクトとしての特徴を「脱=作品化」として「『芸術作品』を作家自身が解放し、表現の提示おおよび制作のプロセスをある種の集団的な表象(=代理)として利用しようとするプロセス」と、「コミュニティやローカリティあるいはマイノリティという社会的文脈に介入することによってのみ可能な表現プロセスの活動そのものを本質的な作品形態として提示する企て」の2つにわけた。その上で、前者が「ワーク・イン・プログレス」、後者が「サイトスペシフィック・アート」と呼ばれるものだとした。 また、各地のアートプロジェクトのドキュメントとまとめたプロジェクトにおいて、村田真はアートプロジェクトを「最近、個人のスケールを超えた『美術作品』ないしは『美術展』とほぼ同義で使われているようだが、本来の意味は異なっている」として、「アート」と「プロジェクト」の語に戻り再定義している。村田は、「アート」は美術よりも幅広い語を指す意味で、「プロジェクト」はプロセスを含む意味で用いられているとした。
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