N,N‐ジメチルアニリンとは? わかりやすく解説

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N,N‐ジメチルアニリン

分子式C8H11N
その他の名称Phenyldimethylamine、バースネラーNL63/10、Versneller NL63/10、NCI-C-56428、N,N-Dimethylaniline、N,N-Dimethylbenzenamine、Dimethylphenylamine、Dimethyl(phenyl)amine、Dimethylaminobenzene、N,N-Dimethylphenylamine、1-(Dimethylamino)benzene、3-(Dimethylamino)benzene、4-(Dimethylamino)benzene
体系名:フェニルジメチルアミン、ジメチル(フェニル)アミン、ジメチルアミノベンゼン、4-(ジメチルアミノ)ベンゼン、1-(ジメチルアミノ)ベンゼン、3-(ジメチルアミノ)ベンゼン、N,N-ジメチルベンゼンアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルフェニルアミン、N,N-ジメチルフェニルアミン


ジメチルアニリン

(N,N‐ジメチルアニリン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/14 15:21 UTC 版)

N,N-ジメチルアニリン
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.004.085
KEGG
PubChem CID
UNII
CompTox Dashboard (EPA)
性質
C8H11N
モル質量 121.18 g·mol−1
外観 無色の液体
匂い アミンのような
密度 0.956 g/mL[1]
融点 2 °C (36 °F; 275 K)[1]
沸点 194 °C (381 °F; 467 K)[1]
2% (20°C)[2]
蒸気圧 1 mmHg (20°C)[2]
磁化率 −89.66·10−6 cm3/mol
危険性
引火点 63 °C (145 °F; 336 K)
致死量または濃度 (LD, LC)
1410 mg/kg (ラット, 経口)[3]
LCLo (最低致死濃度)
50 ppm (ラット, 4 時間)[3]
NIOSH(米国の健康曝露限度):
PEL
TWA 5 ppm (25 mg/m3) [skin][2]
REL
TWA 5 ppm (25 mg/m3) ST 10 ppm (50 mg/m3) [skin][2]
IDLH
100 ppm[2]
安全データシート (SDS) External MSDS
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
 verify (what is  N ?)

N,N-ジメチルアニリン (N,N-dimethylaniline) は、アニリンから誘導される有機化合物である。ベンゼン環と、2個のメチル基で置換されたアミノ基(ジメチルアミノ基)からなる第三級アミンである。アミン臭を持つ有毒な油状の液体で、溶媒や合成の原料として使われる。純物質は無色であるが、販売されている液体は黄色である。クリスタルバイオレットなどの染料前駆体として重要である。消防法に定める第4類危険物 第3石油類に該当する[4]

合成と反応

ジメチルアニリンは1850年アウグスト・ヴィルヘルム・フォン・ホフマンがアニリンとヨードメタンを加熱して初めて合成した。

C6H5NH2 + 2 CH3I → C6H5N(CH3)2 + 2 HI

現在、工業的にはアニリンとメタノール硫酸を触媒として縮合させ(アルキル化)、生じる硫酸塩を塩基で中和して得る[1]

C6H5NH2 + 2 CH3OH → C6H5N(CH3)2 + 2 H2O

また同様にジメチルエーテルを使用してメチル化で合成することもできる。

ジメチルアニリンはアニリンと同様に弱塩基求核剤としての性質を示す。混酸ニトロ化(英:nitration)するとテトリルを生成する。これは4個のニトロ基を持ち、爆発性を示す。またn-ブチルリチウムを作用させるとジメチルアミノ基のオルト位リチオ化される。ジメチルアミノ基はアルキル化を受け、第四級アンモニウム塩を生ずる[5]

C6H5N(CH3)2 + (CH3O)2SO2 → C6H5N(CH3)3+ CH3OSO3-

また、氷冷下でスルファニル酸亜硝酸ナトリウムジアゾ化して作ったスルファニル酸ジアゾニウム塩溶液にジメチルアニリン塩酸塩溶液を加えてジアゾカップリングさせると、酸塩基指示薬メチルオレンジが合成できる。

応用

ジメチルアニリンはマラカイトグリーンやクリスタルバイオレットなどのトリアリールメタン系染料(英:triarylmethane dye)の前駆体として重要であるほか[6]、その他の有機化合物の前駆体としても使用される。またポリエステルビニルエステル樹脂の成型の際に促進剤として利用される[7]モルモットウサギガスクロマトグラフィーを使用する試験管内でのジメチルアニリンの新陳代謝の研究で新陳代謝のサイクルでの脱メチル化N-オキシド化の仕組みが確認され、環状ヒドロキシ化のシステムを確立した[8]

出典

  1. ^ a b c d Merck Index 14th ed., 3234.
  2. ^ a b c d e NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0223
  3. ^ a b N,N-Dimethylaniline”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所英語版(NIOSH). 2025年10月15日閲覧。
  4. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  5. ^ J. Jacques and A. Marquet (1988). “Selective α-Bromination of an Aralkyl Ketone with Phenyltrimethylammonium Tribromide: 2-Bromoacetyl-6-methoxynaphthalene and 2,2-Dibromoacetyl-6-Methoxynaphthalene”. Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 6, p. 175
  6. ^ Thomas Gessner and Udo Mayer "Triarylmethane and Diarylmethane Dyes" ウルマン産業化学百科事典英語版 2002年版, Wiley-VCH, Weinheim.doi:10.1002/14356007.a27_179
  7. ^ General Info on DMA (N,N-Dimethylaniline) Archived 2007年8月29日, at the Wayback Machine., オーストラリア合成化合物事典
  8. ^ Brimecombe, R. D.; Fogel, R.; Limson, J. L. Electrochemical monitoring of the biodegradation of 2,4-dimethylaniline. J. Agric. Food. Chem英語版.2006 54 8799-8803.


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