黄熱、デング熱、他のアルボウイルス感染症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 21:08 UTC 版)
「ウイルスの社会史」の記事における「黄熱、デング熱、他のアルボウイルス感染症」の解説
詳細は「アルボウイルス」を参照 アルボウイルスは、吸血昆虫によってヒトや他の脊椎動物に伝染するウイルスである。「アルボウイルス」(arbovirus) という語は"arthropod-borne virus" (節足動物媒介ウイルス) に由来し、現在の分類学では正式には用いられない、ウイルスの拡散方法による分類である。アルボウイルスには500以上の種が存在するが、1930年代にはヒトの病気を引き起こすものとして、黄熱ウイルス、デングウイルス、サシチョウバエ熱(英語版)ウイルスの3種だけが知られていた。現在では、脳炎を含むヒトの病気を引き起こすものとして、100以上のアルボウイルスが知られている。 黄熱はフラビウイルスの1種 (黄熱ウイルス) によって引き起こされる、最も悪名高い病気である。アメリカでの最後の大きな流行は1905年に発生した。パナマ運河の建設中、数千人の労働者がこの病気で死亡した。黄熱はアフリカに起源を持ち、ウイルスを保有するネッタイシマカ Aedes aegypti を載せた貨物船によってアメリカ大陸へもたらされた。アフリカで記録された最初の流行は、1926年西アフリカのガーナで発生したものである。1930年代には、この病気はブラジルに再出現した。アメリカの疫学者 Fred Soper (1893–1977) は、ヒト以外の宿主へ感染する森林サイクル (sylvatic cycle) の重要性と、ヒトへの感染はこのサイクルを終わらせる「行き止まり」であることを発見した。黄熱ワクチンはこれまで開発された中で最も成功したものの1つであるが、流行は発生し続けた。西アフリカでは1986–91年に2万人以上が感染し、そのうち4000人が死亡した。 1930年代には、セントルイス脳炎(英語版)、東部馬脳炎、西部馬脳炎がアメリカに出現した。ラクロス脳炎(英語版)を引き起こすウイルスが1960年代に発見され、ウエストナイルウイルスが1999年にニューヨークに到達した。2010年現在、デングウイルスが最も流行しているアルボウイルスであり、ビルレンスが高くなった系統がアジアやアメリカ大陸で拡散している。
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