高炉法の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 03:41 UTC 版)
従来の高炉法の場合、下記の欠点があった。 銑鉄を製造するだけでも高炉のほかにコークス炉(石炭を乾留)・焼結炉が必要であり、また反応速度も8時間かかり、巨大設備投資が必要なわりに生産量が少ない。 コークスを製造できる石炭は石炭の中のごく一部である粘結炭(原料炭)だけであり、もともと価格が高かった。近年、資源メジャーによる原料炭鉱山の買い占めのため、単年度で原料炭価格が2倍に上昇するなど大きなコスト上昇要因となっている。高炉法に羽口からの非粘結炭(一般炭)吹き込みを併用しても、価格の安い一般炭の使用比率は全石炭使用量の25–30 %程度が限界である。 鉄鉱石価格は塊鉱石が高価で粉鉱石が安価であるが、高炉で粉鉱石を使う場合、焼結炉で塊に焼き固めなければならない。その結果、焼結炉が必要で焼結工程で燃料を消費してコストがかかるのみならず二酸化炭素を発生させてしまう。 酸素濃度を多少増やす工夫もされているが、基本は空気を吹き込む製鉄法である。反応速度が遅いほか、C1化学の立場からは製鉄排ガスに窒素が混入することが、製鉄排ガスの化学工業的・商業的価値を落とし、製鉄排ガス(合成ガス)を原料とした大規模な自動車燃料合成、燃料自給率向上を妨げているとの批判もある。
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