香りの研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 02:23 UTC 版)
広島大学大学院生物圏科学研究科の大村尚の分析によると、キンモクセイの香り成分はγ-デカラクトン、リナロール、リナロールオキシド、β-イオノン、α-イオノンなどで構成され、中でも本物質は特徴的な香りを持つと考えられる。キンモクセイの香りは拡散性が高いことで知られるが、本物質はやや揮発性が低いため、遠くまで拡散しているのはβ-イオノンが中心ではないかとする考えもある。大村の研究により、本物質はモンシロチョウの忌避成分として同定された。 アサヒグループホールディングスの研究では、モルト・ウイスキーの香気成分からγ-デカラクトンとγ-ドデカラクトンが発見された。これはウイスキー製造時に、不飽和脂肪酸が乳酸菌によりヒドロキシ脂肪酸となり、これが酵母のβ酸化によりラクトンへ変換されたものと推察された。脂肪酸の供給源は、醸造時に併用されるビール酵母であると考えられる。この研究は、日本醸造協会より2004年度日本醸造協会技術賞を受賞した。 ロート製薬の研究によると、γ-デカラクトン(ラクトンC10)はγ-ウンデカラクトン(ラクトンC11)とともに若い女性特有の甘い体臭を構成し、本物質は20代、γ-ウンデカラクトンは30代で大幅に減少することが明らかになった。この研究は、2017年9月に神戸市で行われた日本味と匂学会第51回大会でポスター発表され、プレスリリースで配布されたPDF中の図4によると10代ではγ-デカラクトン(ラクトンC10)の濃度は0.1ppm程度、γ-ウンデカラクトン(ラクトンC11)の濃度はこの1.5倍に相当する0.15ppm~が析出されたとしている。
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