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舘暲

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/16 07:43 UTC 版)

舘 暲
(たち すすむ)
生誕 (1946-01-01) 1946年1月1日(79歳)
東京都新宿区
居住 日本
国籍 日本
研究分野 バーチャルリアリティ
ロボット
研究機関 東京大学
慶應義塾大学
旧通産省機械技術研究所
マサチューセッツ工科大学
出身校 東京大学工学部卒業
東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)
博士課程
指導教員
磯部孝
博士課程
指導学生
稲見昌彦
主な業績
プロジェクト:人物伝
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舘 暲(たち すすむ、1946年1月1日 - )は、日本システム工学者。工学博士東京大学名誉教授

専門はシステム情報学で、特にロボット工学バーチャルリアリティ計測工学制御工学

略歴

〈出典:[1][2]

東京都生まれ。1964年東京都立戸山高等学校卒業。1968年東京大学工学部計数工学科卒業。1973年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻博士課程修了。その後、1973年4月より、東京大学工学部計数工学科助手、1975年5月より、通商産業省工業技術院機械技術研究所研究員。主任研究官、遠隔制御課長、バイオロボティクス課長を歴任。この期間中、1979年7月から1980年7月、マサチューセッツ工科大学客員研究員

1989年9月から、東京大学助教授を併任、1991年1月に東京大学先端科学技術研究センター助教授に転任、1992年4月に同センター教授、その後1994年4月に工学部教授、2001年4月には東京大学大学院情報理工学系研究科教授に就任し、2009年定年退職、名誉教授、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。2011年特任教授。2016年より東京大学高齢社会研究機構。

日本バーチャルリアリティ学会初代会長。計測自動制御学会第46期会長。日本ロボット学会設立発起人。

テレイグジスタンスバーチャルリアリティ、臨場感コミュニケーション、再帰性投影技術、ハプティクスなどの研究分野における日本の先駆者的研究者。R3(Rキューブ)=リアルタイム・リモート・ロボティクスによるユビキタス・コンピューティングとの融合なども提唱している。

人物

  • 舘の生い立ちの中で最も影響力があり、彼を知的探求に向かわせた人物は母方の祖父だった。 祖父は、日本人初の東京帝国大学外科学教授となった佐藤三吉の甥であった。 曽祖父が若くして亡くなったため、祖父は、曽祖父の弟である佐藤三吉に引きとられ深い学問的雰囲気の家庭で育った。その家庭環境が、祖父の家にも引き継がれていて、幼少の舘は、佐藤三吉の話を何度となく祖父から聞いて育った[3]
  • 東京大学に入学して1年余の1965年の夏、進振りの締め切りが近づくなか、舘は、物理に進もうと思っていたが、一方で人間に興味があり人が関わっている研究がしたいと漠然と考えて進路を決めかねていた。そんな中、偶然ならしたラジオから流れてきたのがノーバート・ウィーナーの『サイバネティクスはいかにして生まれたか』の朗読であった。聞いたとたん雷に打たれたような感覚が全身を走ったのを鮮明に覚えているという。すぐに総合図書館に走りウィーナーの著書を探して読み、その結果、サイバネティクスの研究に身を投じることを決意し、当時、唯一サイバネティクスを学べる工学部の計数工学科に進学した[3][4][5]
  • 次男は、折り紙工学者で東京大学教授の舘知宏[6]
  • 1993年に、学生にVRを普及し若手研究者を育成する目的で国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)を創設した。このコンテストは、現在各界で活躍する数多くのVRや人間拡張工学など身体性科学分野の研究者や技術者、また芸術家あるいは起業家や経営者を輩出している[7]
  • サイバネティクスの本質ともいえる「人間が人間らしく生きるための科学技術」の考え方を直伝で継承してゆくことを目的として、「サイバネティクス研究会」を2004年にはじめて、現在、80名を超える博士が会員として集っている[8]

研究成果ビデオ

  • 盲導犬ロボット MELDOG [9]
  • テレイグジスタンス Telexistence[10]
  • 光学迷彩 Optical Camouflage[11]
  • 透明コックピット The Transparent Car[12]
  • 裸眼立体視コミュニケーションTwister[13]
  • 裸眼立体視と触覚の融合HaptoMirage[14]
  • フルパララック裸眼立体視 RePro3D[15]
  • 触原色 Haptic Primary Colors[16]
  • Tachilab YouTube[17]

著書

  • 『メカトロニクスのはなし』日刊工業新聞社 1984 ISBN 4526017930
  • 『人工現実感』日刊工業新聞社 1992 ISBN 4-526-03189-5
  • 『ロボットから人間を読み解く』(NHK人間講座)日本放送出版協会 1999 ISBN 4141890243
  • 『バーチャルリアリティー入門』ちくま新書、2002 ISBN 4480059695
  • 『ロボット入門 つくる哲学・つかう知恵』ちくま新書 2002 ISBN 4-480-05938-5
  • 『Telexistence』World Scientific 2010 ISBN 981-283-633-0

共編著

翻訳

  • David E.Johnson, John L.Hilburn『図表によるアクティブフィルタの実用設計法』谷江和雄共訳 日刊工業新聞社 1978

脚注

  1. ^ メンバー - Tachi Lab”. tachilab.org. 2024年2月22日閲覧。
  2. ^ Tachi_Lab - 舘 暲 名誉教授”. tachilab.org. 2024年2月22日閲覧。
  3. ^ a b Adrian Scoica, ACM Crossroads vol.22 no.1, pp.61-62, 2015. Susumu Tachi: The Scientist who Invented Telexistence.
  4. ^ 究める ’84 人間・ロボット システム、毎日新聞11面1984年2月27日(月)
  5. ^ 有馬朗人監修『研究者』、pp.51-80、東京図書 (ISBN4-489-00601-2)
  6. ^ 五十嵐才晴『超・東大脳のつくりかた』、p.150、あさ出版(ISBN978-4-86667-357-8)
  7. ^ Tachi Lab - IVRC”. tachilab.org. 2025年5月8日閲覧。
  8. ^ Tachi Lab - サイバネティクス研究会”. tachilab.org. 2025年5月8日閲覧。
  9. ^ 盲導犬ロボット MELDOG”. youtube.com. 2025年5月13日閲覧。
  10. ^ テレイグジスタンス Telexistence”. youtube.com. 2025年5月13日閲覧。
  11. ^ 光学迷彩 Optical Camouflage”. youtube.com. 2025年5月13日閲覧。
  12. ^ 透明コックピット The Transparent Car”. youtube.com. 2025年5月13日閲覧。
  13. ^ 裸眼立体視コミュニケーションTwister”. youtube.com. 2025年5月13日閲覧。
  14. ^ 裸眼立体視と触覚の融合HaptoMirage”. youtube.com. 2025年5月13日閲覧。
  15. ^ フルパララック裸眼立体視 RePro3D”. youtube.com. 2025年5月16日閲覧。
  16. ^ 触原色 Haptic Primary Colors”. youtube.com. 2025年5月13日閲覧。
  17. ^ Tachilab YouTube”. youtube.com. 2025年5月13日閲覧。

関連項目

外部リンク

先代
設立
日本バーチャルリアリティ学会会長
1996年 - 2001年
次代
原島博
先代
永島晃
計測自動制御学会会長
2007年 - 2008年
次代
久間和生




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