類型論における「説明」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/02 18:56 UTC 版)
「言語類型論」の記事における「類型論における「説明」」の解説
類型論は伝統的に機能主義言語学との結びつきが強く、見いだされた普遍性に対して、言語以外の認知能力、言語処理上の負担、コミュニケーションの目的などの外的要因にその説明を求める傾向が強い。たとえばラテン語のように屈折が豊富な言語において語順が自由である傾向があることは、語のあいだの文法関係を聞き手に伝える上で、格が明示されていれば語順に頼る必要がないからという観点から説明される。また、世界の言語の色彩語彙について調査したバーリンとケイの研究は、色彩語彙には白・黒>赤>黄・緑>青>…という階層性があり、下位の色彩語彙をもつ言語では必ずより上位の色彩語彙ももつという普遍性があることを明らかにしたが、のちの研究でこの傾向は視覚系の神経学的特徴を反映したものであることが示された。 生成文法もやはり言語普遍性の追究を標榜する学問であるが、そのアプローチは大きく異なっており、特に初期にはその研究対象が英語に集中していたこともあり、類型論との結びつきは弱かった。しかしながら近年では生成文法も多くの言語に応用されるようになってきており、原理とパラメータのアプローチに基づいて言語の多様性を捉えることを試みたマーク・ベイカーによる研究など、類型論の背後にある理論的立場は一枚岩ではなくなりつつある。
※この「類型論における「説明」」の解説は、「言語類型論」の解説の一部です。
「類型論における「説明」」を含む「言語類型論」の記事については、「言語類型論」の概要を参照ください。
- 類型論における「説明」のページへのリンク