類型化の試み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 09:43 UTC 版)
こうした共通項を括り出す試みは重要であるが、共通項が示されることで、その共通項内においても考慮すべき多様性が存在することが忘れ去られてしまう危険性がある。こうした危険性に鑑み、いくつかの類型を作り出すことによって、多様性を保持しつつ、批判法学の理解を試みるものもある。たとえば、法の不確定という共通項の背後にある目的や理論的背景に着目したある研究では、批判法学を①リアリズム法学、②(ポスト)構造主義、③ポストモダン的言語哲学、④ネオ・マルクス主義、⑤批判的歴史学、⑥法社会学、⑦新左翼的アナーキズム、⑧サルトル的実存主義に類型化した上で、それぞれがどのような含意を持つかを明らかにしようとしている。 ただし、批判法学を類型化しようとする試み全てが、多様性の理解に努めようとするものではない。たとえばアンガーは、批判法学を、①不確定性もしくは脱構築主義的アプローチ(the indeterminacy or deconstruction approach)、②ネオ・マルクス主義的アプローチ(the neo-Marxist approach)、③制度主義的アプローチ(the institutionalist approach)の三つに類型化しているが、これは①②を批判し、自身の属する③へと批判法学は向かうべきだと主張するためである。
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