頭部付属肢の対応関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 06:11 UTC 版)
「鋏角類#体節と付属肢の対応関係」および「ラディオドンタ類#前部付属肢の対応関係」も参照 体節 分類群 先節(前大脳)1(中大脳)2(後大脳)345ウミグモ類(最も有力視される説)? 鋏肢 触肢 担卵肢 第1脚 第2脚 ウミグモ類(触肢・担卵肢同一体節由来説)? 鋏肢 触肢+担卵肢 第1脚 第2脚 第3脚 ウミグモ類(鋏肢前大脳性/先節由来説)鋏肢 触肢 担卵肢 第1脚 第2脚 第3脚 真鋏角類上唇 鋏角 触肢 第1脚 第2脚 第3脚 大顎類上唇 第1触角 第2触角/(退化) 大顎 第1小顎 第2小顎/下唇 ラディオドンタ類(前部付属肢前大脳性説)前部付属肢 鰭 鰭 鰭 鰭 鰭 ウミグモの鋏肢は、通常では真鋏角類の鋏角に相同で、すなわち第1体節由来(中大脳性)の付属肢と見なされる。しかしウミグモの鋏肢神経は、一見して脳の先頭に対応するようにも見える。この特徴に基づいて、ウミグモの鋏肢は真鋏角類の鋏角に非相同で、むしろ先節由来/前大脳性(ラディオドンタ類などの前部付属肢に相同の可能性がある)ではないかという異説は一時的に提唱された。しかしこの見解は、公表されるあとで多くの研究に否定的と評価される。ホメオティック遺伝子発現や神経発生と神経解剖学的再検証は、いずれも通説の鋏肢第1体節由来/中大脳性説を強く支持し、鋏肢神経に対応する脳の先頭は前大脳ではなく、前方に曲がった中大脳だと示される。 また、担卵肢の対応関係も議論の的とされていた。これは真鋏角類の第1脚(第3体節に対応)に相同というのが通説だが、別の異説が2つある。1つは、担卵肢と触肢の解剖学と発生学上の共通点や、一部の群(オオウミグモ科など)での基部がお互いに密着するなどの形質を根拠とし、両者は同一体節由来で、担卵肢は「重複した触肢」という説である。もう1つの説は、前述の触肢との同一体節由来を否定しつつも、上述の鋏肢先節由来/前大脳性説を踏まえて、担卵肢を真鋏角類の触肢に相同と見なしている。しかしホメオティック遺伝子発現は、通説(触肢とは別の第3体節由来)を支持し、これらの異説を否定している。
※この「頭部付属肢の対応関係」の解説は、「ウミグモ綱」の解説の一部です。
「頭部付属肢の対応関係」を含む「ウミグモ綱」の記事については、「ウミグモ綱」の概要を参照ください。
- 頭部付属肢の対応関係のページへのリンク