頓馬天狗とは? わかりやすく解説

頓馬天狗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/18 09:10 UTC 版)

お笑い珍勇伝 頓馬天狗
⇒崑ちゃんのとんま天狗
ジャンル 時代劇コメディ
企画 東宝テレビ部、劇団・笑いの王国
脚本 花登筺[1]
演出 香坂信之
出演者 大村崑[1]
芦屋雁之助[1]
芦屋小雁[1]
オープニング 大村崑、かなりや子供会「とんとんとんまの天狗さん」(作詞:花登筺、作曲:加納光記)
製作
制作 よみうりテレビ
東宝
放送
映像形式 モノクロ放送
音声形式 モノラル放送
放送国・地域 日本
回数 70[1]
放送開始から1959年9月30日(第5話)まで
放送期間 1959年9月2日[1][2] - 9月30日[3]
放送時間 水曜日 18:15 - 18:45[1][2][3]
放送分 30[1][2][3]
1959年10月3日(第6話)から放送終了まで
(ゴールデンタイム時代)
放送期間 1959年10月3日[4] - 1960年12月24日
放送時間 土曜日 19:00 - 19:30[4]
放送分 30[1][4]

特記事項:
大塚製薬一社提供番組[1]
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頓馬天狗』(とんまてんぐ)は、1959年9月2日から1960年12月24日まで、よみうりテレビ制作・日本テレビ系列で放送されていた、花登筺脚本、大村崑主演による時代劇コメディである。全70回。スタジオ収録。大塚製薬一社提供[1]

番組タイトルは、当初は『お笑い珍勇伝 頓馬天狗』だったが、後に『崑ちゃんのとんま天狗』へ改題された。

概要

タイトルの通り、時代劇『鞍馬天狗』のパロディである[5]コント的要素やスラップスティックによる笑いを多用し、毎回、大村崑扮する『頓馬天狗』の行く先々で敵役である『珍選組』の近藤、土方が現れては頓馬天狗に斬られてしまい、再び繰り返すという、所謂“アチャラカもの”である。「片手抜刀」など、大村のトリッキーで身軽な殺陣が人気となった。

脚本は花登が手がけ、出演者も大村、芦屋雁之助以下、花登が東宝から独立して結成した『劇団・笑いの王国[6]』のメンバーが中心だった。

登場人物は近藤勇造(近藤勇)、土方大三(土方歳三)と本来の登場人物の名前をもじったもので、主人公の名前は「尾呂内南公」と、スポンサー・大塚製薬のメイン商品名『オロナイン軟膏』の読みがそのまま使用された[5]。決め台詞は「姓は尾呂内(オロナイン)、名は南公(軟膏)」。

製薬会社がスポンサーということで、うだつの上がらない主人公がピンチに陥ると秘薬と称する丸薬を口にすることで頭巾姿で剣の達人である頓馬天狗に変身するというのが毎回のパターンだった。番組のオープニングで「天狗コマーシャル」と筆書きされた巻物を広げ、生コマーシャルが挿まれた。

当時はVTRの規格が2インチで機器、テープ共に高価で著作権法などの絡みで番組の資料保存が制約されていたため、よみうりテレビには映像は殆ど現存しておらず、映像は主演の大村が個人所有しているテープが数本保存されている程度である。[注 1]

スタッフ

出演

ほか

主題歌

  • 大村崑、かなりや子供会「とんとんとんまの天狗さん」(作詞:花登筺、作曲:加納光記)
    EPレコード盤が発売された(廃盤)。CDでは『なつかしの昭和テレビ主題歌集 完結編(一)』に収録されている。

放送時間

いずれもよみうりテレビでの放送時間

第1~5話まで(1959年9月2日[1][2] - 1959年9月30日[3]
第6話から最終話まで(ゴールデンタイムでの全国同時ネット開始、1959年10月3日[4] - 1960年12月24日)
  • 毎週土曜日19時00分から19時30分[4]

ネット局

ほか

エピソード

  • この番組は生放送で様々なハプニングを生み出した。本番中にディレクターの怒号が聞こえたり、殺陣の最中に刀が外れたり等は日常茶飯事だった。
  • 生番組であるが故に本番3日前に台本が仕上がり、放送当日の朝まではリハーサル。その後は本番を迎えるという撮影スケジュールだったという。尚、遅れネット局もある為、番組はVTRで同時収録され、遅れ局は後日それで放送された。
  • 番組の特徴は『生コマーシャル』で「姓はオロナイン、名は軟膏…」の名乗りを上げて登場する場面は有名である。この手法は当時のバラエティ番組では多く見られ、大村が出演していた大阪テレビ放送朝日放送やりくりアパート』で放送した『ダイハツ・ミゼット』のテレビCM。藤田まこと主演の『てなもんや三度笠』のオープニングの決め台詞(「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」)が典型である。
  • 大村が番組中に見せた左手だけの片手抜刀[13]など、当時の視聴者層に支持を受け、テレビ番組以外では花登筺作・わちさんぺい画による漫画化(秋田書店少年雑誌『まんが王』に掲載)や、丸川製菓フーセンガムのパッケージ、めんこのデザインなどに起用された。
  • 大塚製薬が日本テレビ系列の土曜19時枠のスポンサーになるのは当番組が初めてである。以後1972年6月終了の『天才バカボン』までの12年9ヶ月に渡って、土曜19時枠の単独スポンサーを務めた。

関連項目

外部リンク

脚注

注釈

  1. ^ ちなみによみうりテレビでは、1959年3月7日の劇場中継にて、初めて自社に於いてVTR再生による放送を開始している[7]
  2. ^ 日本テレビでは、VTR再生による3日遅れの毎週土曜日13時15分から13時45分まで放送。その為10月3日には、同時間帯に第5話、そしてゴールデンタイムに第6話と1日に2回放送される事態となった。[8]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 讀賣テレビ社史編集委員会 編『近畿の太陽 : 読売テレビ10年史』讀賣テレビ放送株式会社、1969年3月21日、416頁。NDLJP:12274683/469 
  2. ^ a b c d e 朝日新聞 1959年9月2日 大阪版朝刊6ページ ラジオ・テレビ欄(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
  3. ^ a b c d e 朝日新聞 1959年9月30日 大阪版朝刊7ページ ラジオ・テレビ欄(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
  4. ^ a b c d e 朝日新聞 1959年10月3日 大阪版朝刊7ページ、同東京版朝刊5ページ、同西部版朝刊8ページ、同北海道版朝刊5ページ いずれもラジオ・テレビ欄(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
  5. ^ a b 石橋春海『’60年代蘇る昭和特撮ヒーロー 特撮創成期の1960年代に登場したヒーローたちを一挙紹介!』コスミック出版〈COSMIC MOOK〉、2013年12月5日、48 - 49頁。ISBN 978-4-7747-5853-4 
  6. ^ そもそも花登の劇団結成は『やりくりアパート』のレギュラーだった子役・中山千夏の東京・芸術座での舞台起用に伴う処遇を巡り、花登と東宝との関係が悪化し、松竹の支援で結成に至ったものだったが、東宝側は「関係が切れるのは東京との関係で、関西は今まで通りに…」と慰留に努め、完全な決裂とはならなかった。また、「東宝テレビ部」はテレビ制作プロダクションとしての独立性が高かったこともあり、キャスティングに際してトラブルは発生しなかった<花登の著書『私の裏切り裏切られ史』(朝日新聞社ASIN B000J79Q4U)の記述より>。
  7. ^ 讀賣テレビ社史編集委員会 編『近畿の太陽 : 読売テレビ10年史』讀賣テレビ放送株式会社、1969年3月21日、402頁。NDLJP:12274683/455 
  8. ^ 朝日新聞 1959年9月5日及び同年10月3日 共に東京版朝刊5ページ ラジオ・テレビ欄(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
  9. ^ 朝日新聞 1959年10月3日 西部版朝刊8ページ ラジオ・テレビ欄(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
  10. ^ 朝日新聞 1959年10月3日 北海道版朝刊5ページ ラジオ・テレビ欄(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
  11. ^ 中国新聞』1959年12月28日、テレビ欄(同日より放送開始)。
  12. ^ 放送当時、本土=那覇間のマイクロ回線が敷設されていない為、空輸によるフィルムネットで放送された
  13. ^ なつかし映像コーナー!!”. 崑の村. 2014年3月22日閲覧。


日本テレビ 土曜13:15 - 13:45枠
【当番組のみよみうりテレビ制作】
前番組 番組名 次番組
劇場中継
(枠不定)
お笑い珍勇伝 頓馬天狗
(1959年9月)
単発枠+スポーツ
(枠不定)
日本テレビ系 土曜19時台前半枠
【当番組よりよみうりテレビ制作枠および大塚製薬一社提供枠】
まりっぺ先生
【日本テレビ制作】
お笑い珍勇伝 頓馬天狗

崑ちゃんのとんま天狗
(1959年10月 - 1960年12月)




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