非阻害的機能における立体構造の変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 08:12 UTC 版)
「セルピン」の記事における「非阻害的機能における立体構造の変化」の解説
ある種の非阻害剤型セルピンも立体構造を変化させることでその機能を果たす。例えば、チロキシン結合グロブリンの天然状態であるS型はチロキシンに対し高い親和性を持つが、切断を受けたR型は親和性が低い。同様にトランスコルチンも切断後のR型より天然状態のS型の方がコンチゾールに対する親和性が高い。このようにして、上記のセルピンにおいてはRCLの切断とS-R遷移がプロテアーゼの阻害ではなくリガンドの放出に利用される。 セルピンの中にはS-R遷移が細胞のシグナル伝達を活性化するものもある。この場合、標的プロテアーゼと複合体を形成したセルピン分子が受容体によって認識される。そしてこのセルピン-プロテアーゼ複合体と受容体の結合が、受容体による下流シグナルへと繋がるのである。そのためS-R遷移は細胞にプロテアーゼ活性の存在を警告するために使われる。この事はセルピンが単純にシグナルカスケードに関与するプロテアーゼに影響を与える通常の方法と異なる。
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