非圧縮性流れと非圧縮性物質の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/18 02:33 UTC 版)
「非圧縮性流れ」の記事における「非圧縮性流れと非圧縮性物質の違い」の解説
前述した定義のように、非圧縮流れでは div v = 0 {\displaystyle \operatorname {div} {\boldsymbol {v}}=0} である。これは D ρ D t = ∂ ρ ∂ t + v ⋅ grad ρ = 0 {\displaystyle {\frac {D\rho }{Dt}}={\frac {\partial \rho }{\partial t}}+{\boldsymbol {v}}\cdot \operatorname {grad} \rho =0} と等価である。つまり、密度の物質微分が 0 ということである。したがって、物質要素を追いかけるとき、その密度は一定に保たれる。物質微分が 2 つの項を持つことに注意せよ。 最初の項 ∂ρ/∂t は時間と共にどのように物質要素の密度が変化するかを意味する。この項は非定常項ともいわれる。 第二項 v ・gradρ は物質要素がある点から別の点に移動することによる、密度の変化を意味する。これは対流項または移流項と呼ばれる。 流れが非圧縮性であるためには、これらの項の和が 0 でなければならない。 一方、均質、非圧縮性の物質は全領域で一定の密度を持つものとして定義される。そのような物質では密度ρ = constant である。これは ∂ ρ ∂ t = 0 , grad ρ = 0 {\displaystyle {\frac {\partial \rho }{\partial t}}=0,\quad \operatorname {grad} \rho =0} の2式が同時に、かつ独立に成り立つことを意味する。連続の式に代入すると、 D ρ D t = ∂ ρ ∂ t + v ⋅ grad ρ = 0 {\displaystyle {\frac {D\rho }{Dt}}={\frac {\partial \rho }{\partial t}}+{\boldsymbol {v}}\cdot \operatorname {grad} \rho =0} よって div v = − 1 ρ D ρ D t = 0 {\displaystyle \operatorname {div} {\boldsymbol {v}}=-{\frac {1}{\rho }}{\frac {D\rho }{Dt}}=0} が従う。したがって、均質な物質は常に非圧縮性流れとなる。しかし、逆は成り立たない。 通常、文献などでは、非圧縮性流れではその密度が一定であると仮定している。これは技術的には不正確であるが、慣例としてなされる。非圧縮性流れの仮定の上で非圧縮性物質の仮定を使用することの利点の一つは、運動方程式で動粘度νが一定であると仮定することができることである。上記の厳密さはよく混乱の元となる。したがって、力学について記述されているとき、多くの場合は非圧縮性物質または一定容積の流れと明示的に言うことが好まれる。
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