非加法的測度を用いた効用関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 05:00 UTC 版)
「曖昧さ回避 (経済学)」の記事における「非加法的測度を用いた効用関数」の解説
そもそもエルズバーグのパラドックスで矛盾を起こす原因となったのは、排反事象同士の和集合で表される事象が起こる確率はそれぞれの背反事象が起こる確率の和に等しいという確率の加法性である。よってこの確率の加法性という性質を必ずしも満たさない効用関数として非加法的測度を用いた効用関数が提案された。デビット・シュマイドラーによって提案された非加法的測度を用いた効用関数は次のように表される。 J ( f ) = ∫ u ( f ) d v {\displaystyle J(f)=\int u(f)dv} ここで f {\displaystyle f} は意思決定者の選択肢を表し、 v {\displaystyle v} は非加法的測度を表す。 v {\displaystyle v} は加法性を満たさないので測度論で言うところの測度ではない。よって右辺は表記自体は期待効用関数と同じ形をしているが、意味合いとしては期待効用関数とは異なる。シュマイドラーはある種の曖昧さ回避を持つ選好が非加法的測度を用いた効用関数として表現可能であることを示した。 非加法的測度を用いた効用関数の例としてエイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンによって提案された累積プロスペクト理論に基づく効用関数がある。累積プロスペクト理論による効用関数では非加法的測度としてショケ積分(英語版)が用いられている。
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