静止軌道における議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 03:15 UTC 版)
「ケスラーシンドローム」の記事における「静止軌道における議論」の解説
低軌道においては、衝突によるデブリの急速な増加が始まりつつあることは、多くの研究者が同意している。一方で静止軌道(高度約 35,800 km)における状況の認識については、観測の困難さも手伝い、意見が分かれている。 1994年、NTT電気通信研究所の八坂哲雄は、ケスラーシンドロームによる急速なデブリの増加により、今後 200 年で静止軌道の 100 個の衛星が爆散するという計算結果を示し、墓場軌道への移動を徹底し、爆発の確率を 1/100 以下にする必要があると主張した。 一方で、1995年のアメリカ国家科学技術会議の報告書では、静止軌道における平均的な軌道物体の密度は低軌道の 1/100 から 1/1000 であり、さらに平均的な相対速度が小さいことから、短期間においては低軌道に比べて衝突の危険性は低いという認識を示している。 また、1997年、ダレン・マックナイトは観測手段の欠如、静止軌道特有の衛星軌道、ならびに低い衝突確率のために、静止軌道におけるデブリの密度を計算することは困難であると述べている。 2002年、九州大学の花田俊也と八坂哲雄は静止軌道におけるデブリ環境のモデルを更新し、墓場軌道へ移動しない場合、今後 100 年間で 40 個の衛星が爆発し、衝突が 1 回程度起こると予測した。
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