電力を必要としない生産方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 06:35 UTC 版)
「アルミニウム」の記事における「電力を必要としない生産方法」の解説
アルミニウムは電気分解以外の手法でも製造が可能である。たとえばアルミナを2000 °C以下で炭素と反応させ、炭化アルミニウムを生成させる。これを2200 °C以上の高温部へ移動させ、今度はアルミナと反応させて金属アルミニウムと一酸化炭素に分離させる。 化学式としては以下の通りである。 2 Al 2 O 3 + 9 C ⟶ Al 4 C 3 + 6 CO {\displaystyle {\ce {{2Al2O3}+ 9C -> {Al4C3}+ 6CO}}} Al 4 C 3 + Al 2 O 3 ⟶ 6 Al + 3 CO {\displaystyle {\ce {{Al4C3}+ Al2O3 -> {6Al}+ 3CO}}} 2つ目の反応では逆反応が起こらないように過剰な炭素が必要である。生成されたアルミニウムは一部揮発して反応ガス成分に含まれるが、大半はスラグの上層に液体で単離する。 日本では第二次世界大戦直前にボーキサイトの輸入が途絶すると、満州地域から産出される礬土頁岩を材料としたアルミニウム生産が行われた。戦後は顧みられることもなく製法の伝承も断絶しているが、ロータリーキルンを使用していたことから、こうした電気を使用しない手法が取れられていた可能性がある。 一方、アルミニウムの純度を上げる精錬工程は、電力を消費する三層電解法に代わり電力を使用しない分別結晶法を採用することが可能である。粗製アルミニウム金属を融解し、これを局所的に冷却すると、純度の高いアルミニウムが初晶として晶出する。シリコン単結晶の引き上げ処理と原理的には同じである。この方法によって得られる精製アルミニウムの純度は99.98–99.996 %であり、三層電解法に迫る純度を得られる。
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