金属ホウ化物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 01:17 UTC 版)
ホウ素は非常に多くの元素との間でホウ化物を形成するが、特に金属元素との間で形成されるホウ化物は金属的な性質を示すことが多いことから、ホウ素自身は非金属元素であるものの、しばしばホウ素合金として扱われる。金属ホウ化物は一般的に高硬度、高融点、低反応性といった性質を示す。金属ホウ化物の多くはホウ素と金属元素をともに溶融もしくは焼結させることによって合成することが可能であり、ホウ化鉄やホウ化クロムなどの工業的製造法としては高純度なものは得られにくいものの、大量生産が可能なテルミット反応などの直接還元法が利用されている。金属ホウ化物は、ホウ素原子と金属原子との間に化学量論的な関係が見られないことが多い。これは、金属原子が形成する立体構造の空隙に遊離したホウ素原子が取り込まれた構造をとるものや、逆にホウ素が形成する立体構造の空隙に遊離した金属原子が取り込まれた構造をとるものが多く存在するためである。金属ホウ化物として重要なものにホウ化鉄(フェロボロン)があり、Fe2BやFeB、Fe2B5などが知られている。ホウ化鉄は製鉄の原料として焼入れや溶接に関する性能向上に利用される。ホウ素はこのような二元化合物のみならず、複数の金属元素との間に多元化合物を形成することも知られている。代表的なものに、非常に強力な磁力を有するネオジム磁石として利用されるネオジム-鉄-ホウ素の三元化合物であるNd2Fe14Bがある。
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