酷暑・乾燥に耐える生理機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 00:16 UTC 版)
「ラクダ」の記事における「酷暑・乾燥に耐える生理機構」の解説
ラクダの酷暑や乾燥に対する強い耐久力については様々に言われてきた。特に、長期間にわたって水を飲まずに行動できる点については昔から驚異の的であり、「背中のコブに水を蓄えている」という思い込みもそこから出たものである。体内に水を貯蔵する特別な袋があるとも、胃に蓄えているのだとも考えられたが、いずれも研究の結果否定された。 実際には、ラクダは血液中に水分を蓄えていることがわかっている。ラクダは一度に80リットル、最高で136リットルもの水を飲むが、その水は血液中に吸収され、大量の水分を含んだ血液が循環する。ラクダ以外の哺乳類では、血液中に水分が多すぎるとその水が赤血球中に浸透し、その圧力で赤血球が破裂してしまう(溶血)が、ラクダでは水分を吸収して2倍にも膨れ上がっても破裂しない。また、水の摂取しにくい環境では、通常は34-38度の体温を40度くらいに上げて、極力水分の排泄を防ぐ。もちろん尿の量も最小限にするため、濃度がかなり高い。また、人間の場合は体重の1割程度の水が失われると生命に危険が及ぶが、ラクダは4割が失われても生命を維持できる。そのかわり、渇いた時には一気に大量の水を飲むので、ラクダの群れに水を与えるには非常に大量の水を必要とすることとなる。野生種のフタコブラクダは、海水よりも塩分の強い水を補給する事のできる唯一の哺乳類だとされている。 一方で、ラクダは湿潤環境には弱い。ラクダは湿潤環境に多く発生する疫病に対して抵抗力がない。また、足が湿地帯を移動するようにできておらず、足を傷めることが多い。アフリカ大陸においてはニジェール川が最も砂漠に近くなるニジェール川大湾曲部のトンブクトゥあたりが南限であり、これ以南では荷役動物がロバへと変わる。
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