連続濃度の非可算性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/12/27 14:10 UTC 版)
対角線論法により、「任意の集合に対して、その冪集合のほうが濃度が真に大きい: |A| < 2|A|」というカントールの定理が示される。したがって、自然数全体の成す集合 N の冪集合 P(N) は非可算である。さらに、以下のような議論により、P(N) の濃度は連続体濃度に等しいことが示せる。 実数全体から有理数全体の成す集合の冪集合への写像 f: R → P(Q) を、任意の実数 x に対しそれよりも小さい有理数全体のなす集合 {q ∈ Q | q ≤ x} を対応付けるものとして定める。これは、実数を有理数のデデキント切断として定義すると言う立場からは、本質的には、有理数の集合の冪集合への包含写像だということになる。この写像は、有理数全体の成す集合 Q が R において稠密であることから単射である。有理数全体の成す集合 Q は可算であったから、 を得る。 各項が0または2の値をとる無限列全体の成す集合 {0, 2}N を考える。この集合の濃度は明らかに 2ℵ0 である(このような二値数列の全体と冪集合 P(N) との間の自然な全単射は指示関数を考えることで与えられる)。いま、このような二値数列 (ai)i ∈ N に対して、単位閉区間 [0, 1] に属する実数で、その三進展開の数字の並びから作った数列が (ai) となるようなもの(つまり、小数点以下第 i-位の数字が ai であるような実数)が一意に定まるので、これを対応させる。実数の三進展開表示において一意性がくずれるのは、ある項から先に0が続く場合か2が続く場合のどちらかであることから、この対応は単射写像を定めている(この写像の像をカントール集合と呼ぶ)。したがって を得る。 以上のふたつから、ベルンシュタインの定理により が結論できる。特に、連続濃度は可算集合の濃度よりも真に大きいことが従う。 もちろん、{0,1}N から R への全単射を直接構成することによっても、 の別証明を与えることができる。カントールの対角線論法も参照のこと。
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