通常共同訴訟における共同訴訟人の孤立化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/06 21:45 UTC 版)
「共同訴訟」の記事における「通常共同訴訟における共同訴訟人の孤立化」の解説
問題となるケースは、通常共同訴訟における以下のような場合である。 XがYに100万円を貸付け、Zがこれを保証した。しかし返済期日になってもYがXに弁済をしないので、XはYZに対し貸金返還請求等を提起した。 このようなケースにおいて、YZの訴訟上の対応如何によっては弁論が分離され、そのうえ出される判決が実体法上相矛盾する場合が現われる。たとえば、XZ間では債務の存在が認められたのに、XY間では認められなかったなどの事態が生じうる。 むろん、こうした事態につき、民事訴訟法上は私権の処分を当事者に任せているのだから、実体法上矛盾するような判断であっても、当事者の訴訟追行の結果として是認してよいという考え方もありうる。しかし、ことにこのケースの場合のように、後に求償関係が発生するような場合においては、混乱を防ぐためにも何らかの措置を講じる必要性がある。 こうした問題を解決するための理論はいくつかある。 まず、法律上の利益が存する場合には当然の補助参加人の関係が発生するという理論が唱えられる。当然の補助参加人となることにより、当事者間で不利となるような訴訟追行の効果が否定され、有利な効果は残存し、結果上訴再審についても全て当事者間で合一確定がはかられるようになるというわけである。 また、そこまでいかなくとも、共同訴訟人独立の原則を若干後退させ、積極的に共同訴訟人の訴訟追行を否定するような訴訟追行をしない限り、当然に共同訴訟人の訴訟行為は援用されるという見解も存在する。ただしこの見解は、一つの審級の審理の中における、共同訴訟人独立の原則についてこれを緩和しようというものであるから、共同訴訟人の一方が上訴してもう一方が上訴しなかったような場合には、結論の矛盾が生じうる余地がある。 これらの理論は通説となるまでには至っていないが、通説でも、訴訟指揮として釈明権を行使し、共同訴訟人の訴訟行為の援用をするかどうかを促すなどすることが望ましいとされている。
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