近代天文学による否定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/07 13:04 UTC 版)
天文学や天体力学の発達によりこのような惑星の信憑性は失われ、太陽系の未知の惑星候補からは消えていった。 1619年にケプラーの法則により軌道長半径と公転周期の関係が明らかになると、反地球は太陽の陰ならどこでもいいというわけではなく、地球と同じ軌道長半径でなければならなくなった。また、離心率など他の軌道要素も、地球と同じ(軌道要素によっては正反対)である必要があり、そうでないと太陽の陰からずれてしまう。 1760年ごろレオンハルト・オイラーにより、制限3体問題の直線解(のちにラグランジュ点L1・L2・L3と呼ばれる軌道)が発見されると、反地球があるとしたらその軌道は、地球よりわずかに太陽から遠いL3ということになった。同じラグランジュ点のL4・L5にはトロヤ群小惑星が存在しうる(地球軌道のL4にある2010 TK7は、はじめて存在が確認された地球のトロヤ群小惑星である。ただし地球のL5には未発見)が、これは、L4・L5が有効ポテンシャルの極小点であり安定なためである。しかしそれに対し、L3は鞍点にすぎず不安定である。つまり、反地球がわずかでもL3から動径方向に外れると、坂道を転がり落ちるようにL3から遠ざかってしまう。したがって、軌道修正をしない天然の天体がL3に留まり続けることはできない。 さらに、太陽系内の物体は惑星からの摂動により刻一刻と軌道要素が変化するため、太陽の裏側に留まり続けるのはさらに困難になる。また逆に、既知の太陽系の天体、特に地球近傍小惑星や彗星の軌道が反地球による摂動で変化するため、たとえ光学的に観測できなくても、惑星オーダーの質量がある天体ならその存在を確認できる。1846年には、同様の原理で海王星が発見されている。
※この「近代天文学による否定」の解説は、「反地球」の解説の一部です。
「近代天文学による否定」を含む「反地球」の記事については、「反地球」の概要を参照ください。
- 近代天文学による否定のページへのリンク