車輪ダウンロックインジケータ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 15:53 UTC 版)
「ユナイテッド航空173便燃料切れ墜落事故」の記事における「車輪ダウンロックインジケータ」の解説
右主脚を昇降するための油圧シリンダのピストンロッド端部が腐食により破断、分離していた。このためギアダウン操作時の右主脚は制御の無い状態で自由落下し、操縦席にも聞こえるほどの衝撃音となった。この衝撃によって、車輪が降りてロックされたことを検出するマイクロスイッチセンサも破損し、操縦席インジケータに緑色の表示がなされなかった。 機内マニュアルによれば、このような状態では、(それが可能であれば)飛行場上空を低空飛行し、管制塔に目視確認してもらうこととなっていた。これで確認が得られれば、脚は正常に下りているとみなして着陸してよい(ただしその後のタクシングは禁止)とされていた。だが、この管制塔による目視確認は行われなかった(管制塔への要請自体がなされなかった)。 また、機体に備えられた目視インジケータ(DC-8主脚では主翼上面に棒状の突起が出る)をキャビン窓ガラスを通して確認することとなっており、これが確認できれば、「機長の裁量により」着陸することが許されていた。このチェックは実際に機関士により行われ、結果は「正常にロックされている」であった。事故後の調査でも主脚は正常にロックされており、そのまま着陸ができただろうとされている。 しかしこのとき既に機長の頭の中では、「右主脚はロックされていない」、「接地したとたんに脚は引っ込んでしまう」、その結果として「胴体着陸が不可避である」、という考えが支配的となっていた。当該フライトでは副操縦士が操縦を担当していたので、ファイナルでのギアダウン操作は機長が行ったが、自身で行ったこの操作に際して、事故後の聴取において、「このときのただならぬ異常音と振動、その後の異様な機首の振れなど、すべて経験したことの無いものだった」と証言しており、目視用インジケータでの確認程度では胴体着陸となるであろうという考えを容易に変えられるものではなくなっていたと考えられている。
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