距離行列の作成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 08:44 UTC 版)
ある2つの生物群が持つ(DNAの塩基やタンパク質のアミノ酸などの)配列の相違は、生物群同士の近縁性と相関がある。近縁性は進化距離に言い換えることができ、このため配列の相違を進化距離に換算できる。進化距離には塩基やアミノ酸の置換数を使用するが、このとき置換した塩基やアミノ酸の種類を考慮するなど、進化モデルを仮定した解析が数多く登場している。具体的には、Jukes-Cantorの1パラメータモデル、Kimuraの2パラメータモデルなどがある。 系統推定を行う全ての分類群について各組の進化距離を計算すると距離行列が作成できる。以下に距離行列の例を示す。aからeまでのアルファベットは分類群を指し、各数字はそれぞれの組の進化距離を意味する。 abcdea- 5 9 9 8 b - 10 10 9 c - 8 7 d - 3 e - こうした距離行列に基づくと系統樹の計算速度が速いため、距離行列を利用した系統推定は数多く考案されている。 なお、距離行列の作成は配列間の差異以外に基づくことも可能である。例えば、2つの分類群で特定の遺伝子の有無を0と1でスコアリングする、遺伝子座を等しくするために必要な染色体転座や染色体逆位(英語版)の回数で距離を定義する、などの方法がある。
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