足跡鑑定について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 02:30 UTC 版)
「柏の少女殺し事件」の記事における「足跡鑑定について」の解説
事件当時Aが履いていたのは、アキレス社製スポーツシューズ「カルマンハイ」の25.0EEセンチサイズであるが、県警鑑識課は、これが現場に残された足跡と類似すると鑑定している。 しかし、その足跡は先端から末端まで印象されていない不鮮明なもので、25.0EEのものと「大体同じ幅だから、大体大きさは似ているだろうと推測した」に過ぎないことを、鑑定人である鑑識課吏員は再審判廷で認めている。さらに、「カルマンハイ」は幅の調整を靴上部によって行う製法であり、靴底には周辺サイズのものとまったく同一のものを使用している。 これに対して鑑識課吏員は、靴底の紋様はモールドからの打ち抜き方によって一つずつ異なり、指紋と同様の異同識別性を持つと反論している。しかし、同社製の靴底モールドは7種類のものを11のサイズに使用しており、25センチ周辺サイズでは規定もなく3種類のモールドが混用されている。さらに、同じ紋様のモールドは「カルマンハイ」以外の同社製品4種(いずれも学生向け普及品)にも共用されており、それらは事件前の市内でも大量に売られていた物である。加えて同社によれば、スポンジの熱処理段階で生じる紋様自体の個別特徴も、最大で5ミリメートル以下の誤差に過ぎず、その上石膏に転写したものでは異同識別性はほぼゼロである。 また弁護側によれば、校庭からは147個の足跡が採取されているにもかかわらず、Aのものと類似するものはこの一つしか存在しない。しかもそれは左側の足跡であるが、Aの自白によれば、AはBを右後方から追い抜いたとされているため、現場に右側の足跡がないのは不自然である。そしてその採取場所も現場から敷地内側に偏りすぎている、といった点にも疑念が呈されている。
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