趣味の遺伝とは? わかりやすく解説

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趣味の遺伝

作者夏目漱石

収載図書夏目漱石全集 2
出版社筑摩書房
刊行年月1987.10
シリーズ名ちくま文庫

収載図書倫敦塔幻影の盾 他5篇 〔改版
出版社岩波書店
刊行年月1990.4
シリーズ名岩波文庫

収載図書漱石文学作品集 2 倫敦塔幻影 他五篇
出版社岩波書店
刊行年月1990.11

収載図書漱石全集 第2巻 倫敦塔ほか 坊っちやん
出版社岩波書店
刊行年月1994.1

収載図書日本幻想文学集成 25 夏目漱石 琴のそら音
出版社国書刊行会
刊行年月1994.5

収載図書不気味な話 2 夏目漱石
出版社河出書房新社
刊行年月1995.4
シリーズ名河出文庫

収載図書ザ・漱石全小全一増補新版
出版社第三書館
刊行年月1999.6

収載図書漱石雑誌小説復刻全集 第2巻 倫敦塔薤露行
出版社ゆまに書房
刊行年月2001.1

収載図書漱石全集 第2巻 倫敦塔ほか・坊っちやん
出版社岩波書店
刊行年月2002.5

収載図書現代表記版 ザ・漱石全小全一
出版社第三書館
刊行年月2004.11

収載図書大活字版 ザ・漱石全小説全二冊 下巻
出版社第三書館
刊行年月2006.4

収載図書倫敦塔幻影の盾 他五篇
出版社岩波書店
刊行年月2007.2
シリーズ名ワイド版岩波文庫

収載図書倫敦塔幻影の盾 改版
出版社新潮社
刊行年月2008.10
シリーズ名新潮文庫


趣味の遺伝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/02 15:30 UTC 版)

趣味の遺伝
作者 夏目漱石
日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出 帝国文学1906年
刊本情報
収録 『漾虚集』
出版元 大倉書店・服部書店
出版年月日 1906年
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趣味の遺伝』は、夏目漱石1906年の小説である。『帝国文学』の1906年1月号に掲載され、『倫敦塔』『カーライル博物館』『幻影の盾』『琴のそら音』『一夜』『薤露行』とともに『漾虚集』に収められ、大倉書店・服部書店から1906年5月に刊行された。日露戦争の出征兵士を題材にした、厭戦的な小説である。

あらすじ

「陽気の所為で神も気違になる。「人を屠りて餓えたる犬を救え」と雲の裡より叫ぶ声が、逆しまに日本海を撼かして満洲の果まで響き渡った時、日人と露人ははっと応えて百里に余る一大屠場を朔北の野に開いた。」と書き出される。「余」は新橋の停車場で凱旋する兵士を迎える群集に行き会った。将軍の風貌や帰還した下士官を迎えて喜び合う「婆さん」の姿に感慨をおぼえる一方で、「余」は旅順で戦死した「浩さん」のことを思い出す。小説では旅順の戦場での攻撃のありさまと戦死の場面が描かれる。別の日、「浩さん」の遺髪が埋葬されている寂光院にお参りに出かけ、「浩さん」の墓に向かって合掌している美しい女性に出会う。浩さんの母親の家で、彼の日記を読み、生前郵便局で一度出会っただけの女性と惹かれあったことを知る。その一目惚れの原因を先祖に求めて調べると、河上才三という武士と、美しい娘が相愛になって婚約するが、御上の意向によって仲を裂かれた話があって、才三の孫が浩さんであり、寂光院の娘は婚約者の子孫で2人はその祖先によく似ていたことがわかる。その後、娘は息子を失って悲しみに暮れていた浩さんの母親と時々会うようになり、「丸でお嫁さんの様に」仲がよくなった。

ステッセルは降った。講和は成立した。将軍は凱旋した。兵隊も歓迎された。しかし浩さんはまだ坑から上って来ない。図らず新橋へ行って色の黒い将軍を見、色の黒い軍曹を見、背の低い軍曹の御母さんを見て涙まで流して愉快に感じた。同時に浩さんはなぜ壕から上がって来んのだろうと思った。浩さんにも御母さんがある。この軍曹のそれのように背は低くない、また冷飯草履を穿いた事はあるまいが、もし浩さんが無事に戦地から帰ってきて御母さんが新橋へ出迎えに来られたとすれば、やはりあの婆さんのようにぶら下がるかも知れない。浩さんもプラットフォームの上で物足らぬ顔をして御母さんの群集の中から出てくるのを待つだろう。それを思うと可哀そうなのは坑を出て来ない浩さんよりも、浮世の風にあたっている御母さんだ。塹壕に飛び込むまではとにかく、飛び込んでしまえばそれまでである。娑婆の天気は晴であろうとも曇であろうとも頓着はなかろう。しかし取り残された御母さんはそうは行かぬ。そら雨が降る、垂れ籠めて浩さんの事を思い出す。そら晴れた、表へ出て浩さんの友達に逢う。歓迎で国旗を出す、あれが生きていたらと愚痴っぽくなる。洗湯で年頃の娘が湯を汲んでくれる、あんな嫁がいたらと昔を偲ぶ。これでは生きているのが苦痛である。それも子福者であるなら一人なくなっても、あとに慰めてくれるものもある。しかし親一人子一人の家族が半分欠けたら、瓢箪の中から折れたと同じようなものでしめ括りがつかぬ。軍曹の婆さんではないが年寄りのぶら下がるものがない。御母さんは今に浩一が帰って来たらばと、皺だらけの指を日夜に折り尽してぶら下がる日を待ち焦がれたのである。そのぶら下がる当人は旗を持って思い切りよく塹壕の中へ飛び込んで、今に至るまで上がって来ない。

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